第18話 姉妹


「やだねー」

「なんでじゃ!妾は姫じゃぞ」

「私が一番目の彼女だからでーす」

 やはりこうなったか、

「フレイヤかミーシャ、変わってやれないか?」

 僕の部屋は真ん中にあるから両隣はミーシャとフレイヤがとっている。

「私がかわってあげるよ、変わらないとうるさそうだもん」

「ありがとうミーシャ」

「あ、ありがとうなのじゃ」

 ちゃんとお礼はいえるんだな。

「さっそく部屋を移動するよ」

「わかったのじゃ」

 ミーシャについて行くシエスタ。

「なんだかんだで一番面倒見がいいからな」

「そうなんだ、ミーシャはお姉さんなの?」

「妹が二人いたはずだよ、もう二人とも結婚してるけどね」

 そうなんだな。

「みんなは兄弟は?」

「私は姉が一人」

「私は一人っ子です」

 フレイヤに姉がいたんだな。シアは一人っ子か、俺と一緒だな。


「ケントー、シエスタにもマジックバック作ってあげてよ」

「い、いいのじゃ」

「遠慮してないで言えば良いんだよ」

 ミーシャがシエスタに言っている。

「わかったよ。どれに付与しようか?」

 僕は階段を登りながらシエスタに近づくと顔を真っ赤にしたシエスタが鞄を取ってくる。

 すぐに付与してあげると満面の笑みだった。欲しかったのなら言えばよかったのに、

「あ、ありがとうケント」

「どういたしまして」

 エアコンはそのままついてるから大丈夫か、今日はミーシャは俺の部屋だな。


 明日の予定が決まると夕飯が出来ていた。

 今日はメイドさんが作ってくれた。豪華な食事だ。

「どう?シエスタは馴染めそう?」

「まあ、なんとかなるでしょ?」

「妾は大丈夫」

「よかったです」

「何かあったら遠慮なくいうんだよ?」

「はいなのじゃ」

 ミーシャには心を開いてる感じだな。このままみんなとも楽しく行けたら良いが。


 夜はリビングで話をする。

「シアは司書なのか?他二人は冒険者?」

「そうだよ、みんな何か仕事をしているよ」

「妾は何もした事がないのじゃ」

 しょぼんとするシエスタに、

「ケントの手伝いでもしたら良いんじゃないか?」

「そうだね、手伝ってもらえるかな?」

「妾がか?いいのか?」

「いいなぁ、一番近くでケントと一緒なんて」

「妾は頑張るのじゃ」

 煽てるのが上手いなぁ。ミーシャを見習わなくちゃね。

「じゃあ、明日からお願いね」

「任せるのじゃ」


 翌日は朝からメイドが忙しそうにしている。

「どうしたの?」

「姫様の髪を整えているのです」

 あぁ、お姫様だからなぁ。

「私がやってやるよ」

 ミーシャがシエスタのところに入っていき髪をまとめるとすぐに機嫌のいいシエスタが顔を出す。

「おはようなのじゃ」

「おはよ」

「これも一人でできる様にならなくてはのぅ」

「まぁ最初はしょうがないさ」


 今日は指輪と鍛冶屋にエアコンの外枠を作ってもらいに外に出る。

 日傘を刺しているシエスタの手を握り二人で指輪を見に行く。

「こ、これでいいのじゃ」

「それで本当にいいの?」

 みんなと見た目が変わらないがダイヤが付いている。

「これでみんなとお揃いなのじゃ」

「あはは、分かったよ」

 僕の指輪には四本目の溝が彫られ、シエスタには右手の薬指に指輪をはめてあげる。

「えへへ」

「よし、それじゃ次に行こうか」

 右手を差し出すとちゃんと掴んでくれる。

「出発なのじゃ」


 鍛冶屋に着くと、シエスタはキョロキョロとしている。

「初めてきたのじゃ、ここはなんじゃ?」

「ここは鍛冶屋だよ。エアコンの外側を注文しにきたんだ」

 女将さんが出てくると多めに三十台注文する。一つは今日中に、

「はいよ!と言うかもうあの製品ができてるんで受け取ってくれないかね?」

「あ、忘れてました。持って帰りますね」

 ドライヤーの原型を受け取る。

「あと、一つと言わず後で取りに来るなら十はできてると思うよ」

「ならそれでいいです。よろしくお願いします」

「よろしくなのじゃ」

「若い恋人さんだねぇ」

 シエスタのことをみて女将が言う。

 シエスタは満面の笑みだった。


 あとは街をブラブラしてシエスタの普段着や足りない物を買って行く。

 楽しいらしく全部自分で選んでいく。

「楽しいかい?」

「楽しいのじゃ!こんなに街を歩くことなんてなかったのじゃ」

 そういうとシエスタは可愛くありがとうといってくれた。


 

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