第9話 マジックバック
今日は図書館で空間魔法の勉強だ。
もう昨日のことは忘れることにした。
「フレイヤは今日はギルドに行くらしい」
「そうですか、ではケント様お一人で」
「うん、今日は空間魔法を勉強してみるよ」
速読でパラパラとめくるだけだけど、確かに分厚く三部作になっている。
「よし、空間魔法も覚えたぞ」
「本当に凄いですね」
「スキルがね、そう言うスキルだから」
「いや、それでも凄いと思いますよ」
でも、これからやることが大事なんだよな。
カバンを買い、部屋に籠る。
空間魔法で拡張して、それをカバンに付与すると、
「できた!」
流石に魔力はだいぶ使ったけどこれでも十分すぎるな。
『どうしました?』
ソラさんの声だ。
「入っていいですよ」
「失礼します」
ソラさんが入ってきたので実践してみる。
「このカバンに空間拡張を付与しました。マジックバックです」
「マジックバック?」
僕は剣帯をバックにいれる。ビックリするソラさん。
「あ、重力魔法とかってありますか?」
「あ、あります」
「このマジックバックは完成ではないですね、入れたものの重さがそのままだ。重力魔法で重さも無くさないとな」
「そんなことができるんですか?」
「できると思いますよ、空間拡張は成功しましたから」
王都にいる間に完成させないとな。
「いまからまた図書館に行ってもいいですか?」
「はい!お供します」
「重力魔法もこれまた多いな」
分厚いのが三冊。また時間かかるなぁ。
なんとか閉館までに読み終えた僕は宿に戻る。
「フレイヤ?」
「ケントー、やっと帰ってきたー」
「ごめん、図書館に行ってたんだ。そっちはどうだった?」
フレイヤは胸を張り、
「バトルウォンバットを倒して来たよ」
「へ、へぇー」
ウォンバットってあの可愛い動物だよな?
「結構苦労したんだよ!」
ヨシヨシと頭を撫でる。
「お疲れ様」
「えへへ」
晩御飯を食べ、部屋に戻り鞄に重力魔法を付与する。中に入れた物の重さが十分の一になる様調整して完成だ。
「出来た!これでマジックバックって呼べるだろ」
試しに剣帯を入れてみても少しだけ重くなる。
「無重力にしたら重さは関係なくなるな。でも、広くなっただけだから探すのが大変か」
いや、そこまで便利には出来ないよな。
このカバンも普通の肩掛けカバンを大樽二つ分くらい大きくしただけだしな。それで十分だろ。本当はアイテムボックスみたいに考えただけで取り出せるのが一番なんだけど。
「えー、凄いじゃん!」
「凄いですよ!」
フレイヤとソラさん達に見せてみる。
「このバックもマジックバックにして?」
「いいよ」
フレイヤのいつも持ち歩いてるバッグに空間拡張と重量軽減を付与する。
「キャー!やったわ!これでいっぱい買い物できる」
「女王陛下に贈りたいのですが、どの様なバックがいいでしょうか?」
ちゃんとしたバックがいいよな?
「陛下に聞いてみますね」
「お願いします」
「このマジックバックをお借りしても」
「いいですよ」
バックから剣帯を出してから渡す。
「ではお借りします」
ソラさんは飛ぶ様に走っていった。
それから数時間後には城に呼ばれ、マジックバックを作っていた。
「これは国宝級じゃぞ?」
「空間魔法も重力魔法も使い手が少ないですし」
「その二つを付与するなんて」
と、ほかの人達は大騒ぎだ。
俺は出来たマジックバックを女王陛下に渡して説明すると、陛下はニヤニヤとしながら自分のバックを眺めている。
「芸術品になったのう」
マジックバックは僕しか作れないようだ。今のところだけどね。
「本当にこのバックは凄い、が、これ以上世に広めるのは辞めるのじゃ」
陛下は僕にそう言う。
「何故ですか?みんなあったら便利だと思いますが」
「だからじゃ、作れるのがケントしかおらぬでは無いか」
「あぁ、そういえばそうですね」
「皆もここだけの話にすること!古代の品として扱うこととする」
僕が狙われない様にしてくれたんだな。
「承知しました」
宿に帰ってバックをみてニタニタしてるフレイヤにもちゃんと言っておく。
「分かった!内緒だな」
あとは知ってる人には作っていいと陛下に了承を得たのでソラさんにバックを作ってあげた。
「家宝にします。ありがとうございます」
ソラさんは大袈裟だなぁ。
あとは王立図書館でしか読めない魔導書を読んでおかないとな。
「認識魔法、探知魔法、氷魔法、なんかがつかえそうだな」
パラパラとめくり覚えていく。
マジックバックに認識魔法を付与すれば中のものが認識できるんじゃ無いか?
探知魔法で探すこともできるし。
氷魔法はこれから夏にかけて色々と作れそうだし。
なんだかんだで閉館時間だった。
フレイヤのバックに認識魔法と探知魔法を付与してみる。
「分かるよ!何が入ってるか!すぐ取れるし!」
「良かった、なら問題ないね」
陛下のバックにも付与しないとな。
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