第8話 お茶会
いまは春なのだろう、それともこの世界は四季は無いのかな?
「この世界にも四季はありますよ。もうすぐ暑い夏の時期に変わって来ます」
ドアの外の警備の人に聞いてみて分かった。
まだいろんな魔導書を読む必要があるな。
上級ポーションはソラさん達にあげよう。
「宜しいのですか?」
翌日、作ったポーションをソラさん達に渡すと喜ばれた。
代金を払うと言ってくるが練習で作った物だからと言ってあげた。
今日は朝から雨が降っていて湿度が高いが、フレイヤはそんなことお構いなしで外に行きたいらしい。昨日は僕に付き合ってもらったので、今日はフレイヤに一日付き合うことにする。
「ねぇ、どっちが似合う?」
「うーん、こっちかな?」
「こっちかぁ、こっちも捨てがたいから両方とも買ってくるね」
あはは、じゃあ聞くなってばよ。
服や靴、鞄など色々と見てハッとする。空間魔法でマジックバックが作れるんじゃ無いかと。よくファンタジー物でよくあるから忘れてたけど、マジックバックって見てないんだよね。
「空間魔法ってあるの?」
「ありますよ?でも魔導書がすごくて三冊に分かれてます」
「僕なら読めるからいいか」
明日読みに行こう。
そうだ、時計もあった。地球とおなじで二十四時間で一日だ。
腕時計もちゃんとあって、手巻きだが電池があればいいのにと思うが作り方は知らない。
あー、ちゃんと勉強しとくべきだったな。
でも細かい細工が出来るんだったらそれなりに進歩してるんだろうな。
魔法があるからその辺はなあなあなのかな?
「これ可愛いね」
「似合いそうだから買ってあげるよ」
「大丈夫!私稼いでるんで」
フレイヤは稼いでるアピールをすることがある。これはあれかな?男がやるやつ?
「あ、ライトニングベアはどうしようか?」
アイテムボックスに入れたままだ。
「それならギルドにいきましょうか?」
「そうしましょう」
「で、デカいな」
「大きいねぇ」
王都のギルドはデカかった。
「大きいからと言って中は変わりませんよ」
中に入って解体場まで行く。
「どんな獲物だい?」
大柄のおばちゃんがニカッと笑う。
「ライトニングベアです」
アイテムボックスから出すとビックリしていたがサッと解体を始める。
「ライトニングベアは防具にもピッタリなんですよ?」
「そうなんですか?」
「革鎧にピッタリなんです」
「なら皮はソラさん達で使ってください」
「いえ、そんな」
「みんなで倒したので、それくらいいいじゃ無いですか」
皮は売らずにソラさん達にあげる。
あとはそれなりの値段になった。
今日の晩飯代に上乗せしてしまえばいいだろう。
「あとは宿に帰ってゆっくりしましょう」
フレイヤも買い物できて満足しているようだ。
宿に帰ると、久しぶりにフレイヤが突入して来た。まぁ、ソラさんと話をして一時間だけらしいが。
ベッタリと久しぶりに甘えてくるフレイヤが可愛く見えて、時間を忘れてイチャイチャしていたが、“コンコンコン”と一時間できっちり追い出されるフレイヤが可愛かった。
「んぎー、いやダァー」
次の日、
僕はお茶会に呼ばれた。またあのキラキラした服を着てお城に行く。
「さぁ、そこに座って」
「はい、失礼します」
「失礼します」
何故かフレイヤも一緒だ。今日は急遽用意したドレスを着ている。とても綺麗だ。
「色々と聞きたかったの、どうなの?こっちの世界の男と比べて?」
えー、陛下がそれ聞くの?
「男らしくは無いですね、どっちかと言うと女らしいと言うか」
男らしく無い?え?こっちの世界だと逆か。
「冒険者してても前に出ますし、あっちの時もリードしてくれますし」
それ言っちゃうの?
「それで?あっちの方も強いのかしら?」
「そうなんです!最初の時なんて…」
もう、聞いてられない!
恥ずかし目を受けた。
あれこれ質問する女王陛下に答えるフレイヤ。
思い出すだけで顔から火が出そうだ。
「そうか、これまでの渡り人とも少し違う様じゃな」
「そ、そうなんですか?」
「まずはスキルなどをもった渡り人はおらんかったからの」
スキルを持たない?だからこんなに優遇してくれていたのか。
「でも、僕のスキルは速読というものだけですし」
「魔導書が読めるであろう、それは凄いことじゃぞ」
「あ、ありがとうございます」
「存分に使いこなして見せろ」
「は、はい」
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