第3話 図書館
「フレイヤおはよ」
「ん、おはよ」
キスをして二人で起きる。こちらの世界も下着は凝っている。やはり渡り人が伝えたのだろうか?
「今日は図書館よね?」
「うん、まだお金に余裕があるうちに行っときたいんだ」
「じゃあ私は図書館に送ったらまた薬草でも取りに行こうかしら」
「一緒に行かないの?」
「私は本は苦手なの」
エヘヘと笑うフレイヤはなんとか学校で身体強化なんかを身につけたらしい。
「分かったよ、僕も本を読んでるだけだしね」
「うん、それじゃ行こっか」
図書館は割と近くにあった。そんなに大きくないんだな。
「じゃあ迎えにくるからね」
「うん、フレイヤも気をつけてね」
フレイヤがギルドに向かう、僕も図書館に入ると入館料を取られる。まぁさして高くないけどね。
「結構あるんだな」
魔導書コーナーに歴史、地域資料なども取り扱ってるようだ。ここは比較的男の人が多いな。
「魔導書もかなり多いな」
「何かお探しですか?」
眼鏡をかけたタレ目の女の人がこちらに話しかけてくる。
「あぁ、魔導書で最初に読む様な本はあるかな?」
「ならこれとこれを読んでみて下さい」
「あ、ありがとうございます」
「いえ、また何かあれば読んでくださいね」
どうやら司書さんだったらしい。こっちの女の人は綺麗な人が多いな。
どれどれ、基礎魔法の本と応用魔法の本か。いいじゃないか、僕じゃ見つけられなかったかもな。
サッと読むと次の魔導書に移ろうとする。
「お気に召しませんでしたか?」
「いえ、読んだので次の本を探そうと思って」
「え、もう読んだのですか?」
司書さんはビックリしているが、
「えぇ、スキルがあるので」
「凄いスキルですね、じゃあ、次はここの段を読んでいけばいいと思いますよ」
「ありがとうございます」
「いえ、どういたしまして」
物腰の柔らかい人だなぁ。
速読でパラパラと読んでいく。段々とスキルに関する知識になって、スキルとして覚える事ができているのを感じる。
夢中で読んでいると、呆れた顔のフレイヤが横にいた。
「彼女が来たのに気付かないなんて」
フレイヤは笑っている。
「ごめんよ。夢中になって読んでた」
本を返すと、司書さんと目があったのでお辞儀をする。
「もう次の女の人?」
「ち、違うよ、司書さんで本を選んでくれたんだ」
僕がワタワタしていると、
「一夫多妻だから私以外も彼女作ることになるだろうけど、私が一番貴方の事を愛してるんだからね」
「え?フレイヤがいればいいよ」
僕がビックリしてそう言うと、
「一夫多妻は国で決まってるの、一人の男の人に対して二人以上の妻を娶る事って」
「えぇー!」
二人以上って大変じゃないか。
「そんなお金はどうやって稼げばいいんだよ」
「だいたい女が稼いで男は家事かな」
「げ、家事なんか自炊くらいしかやった事ないよ」
こっちの世界に電化製品があればいいけど。
「そう言う時はお手伝いさんを雇ったりね」
「そうなんだ、こっちも大変だなぁ」
いや、俺が大変なんだな。俺が稼げる様になれば、
「魔法もっと覚えよう」
「もう。そう言う事だから増えてもいいけどちゃんと愛してね」
「僕は一人で十分なんだけどな」
「エヘヘー」
腕を絡ませてくるフレイヤ。
宿に帰るとすぐに晩御飯だった。
「フレイヤの彼氏だって?どこが良かったのさ?」
「え?全部?」
「いやん!」
一昨日も絡まれたミーシャという金髪美女に今日も絡まれている。
「かー、私の方が何倍も稼ぎがあるのにさ!なんで私じゃないのぉ!」
「ミーシャさんも綺麗ですって」
「え?ほんと?!」
しまった!
「フレイヤ!私もケントの彼女に!」
「だーめー!まだ私だけのケントですぅ」
「け、けちぃ!」
ミーシャさんはフレイヤと仲がいいみたいで楽しそうにしている。いや、俺も楽しいんだけどね。女の人に囲まれて飲むなんてむこうじゃなかったことだし。
「二人はパーティー組んだりしてないの?」
「実は二人とも元パーティーなのよ?」
そうなんだ、だからこんなに仲がいいんだ。
「本当は四人だったんだけど、二人が結婚してパーティー分裂しちゃったんだよね」
「えっ?なんで?」
「よくあることよ、二人が結婚して居づらくなって解散なんて」
「だからソロも多いのよ?」
そうなんだなぁ、冒険者も大変だなぁ。
「ケントが私を貰ってくれたらいいだけなんだけどなぁー」
「だからダメっていってるでしょ!」
「「あははは」」
「あはは」
僕だけ笑えないんだけど。こっち来てすぐ彼女ができて、三日後に二人目とかどうすんだよ。
飲んでおひらきになり、部屋に帰る。
「ケント、ミーシャのことも考えてあげてね?」
「ん?うん。善処するよ」
「いまは私だけのケントでいてね」
「分かってるよ」
キスをして二人でベットに入る。
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