第2話 速読
「フレイヤ?おはよ」
「ケント、お、おはよ」
恥ずかしがっているフレイヤはとても可愛く見えた。
「僕の彼女になってね?」
「い、いいの?」
「だめかな?」
「ダメじゃない!エヘヘ、彼氏だ」
こう言うのは男から言っとかないとね。
僕らはシャワーを浴びて服を着ると下に朝ごはんを食べにいく。
「朝はちゃんと食べないとね」
でっかいウインナー二本に目玉焼き、パンと朝から食べるなぁ。僕も一緒のものだけどね。
「今日は冒険者になりにいくわよね?」
「うん、その前に残りの魔導書を読んでおくから、少し時間ちょうだい」
「いいわよ、今日から二人部屋にする?」
「うん、そうしようか」
彼女ができたし、断る理由なんかないしな。
「よし、風魔法も覚えたぞ」
「なら冒険者ギルドに向かいましょ?」
僕はこっちで買った軽鎧と剣帯をし、ちょっとかっこいいと思ってしまう。
「似合ってるよ」
「あ、ありがと」
フレイヤは会った時の格好だ。
「ここがギルドよ」
「へぇ、結構立派なんだね」
建物は古そうだが大きな扉がついた建物だ。
中に入るとガヤガヤとしているが、やはり女の割合が少し多いのかな?
真ん中のカウンターに向かって歩いていく。
「冒険者登録をお願い」
「フレイヤ?こっちの男の人を?」
「そうよ、渡り人様で私の彼氏だから!」
「え!えぇ!フレイヤの彼氏?!」
受付のお姉さんは驚いている。
「そ、だから早くしてね」
「くっ、そ、それじゃこの紙に必要事項を書いてください」
僕が書いてる間、フレイヤは受付のお姉さんに問い詰められ嬉しそうに答えている。
「か、書きました」
「はい!それではここに血を少し垂らしてもらいますね、チクッてするだけですから」
受付のお姉さんが触ると、チクッとした痛みで指先に血が少し出ているのでそれをカードに垂らす。
「はい、これで冒険者登録は終わりです。フレイヤが後のことは教えるそうなのでこれで終わりになります」
「ありがとうございます」
「あ、は、はい」
受付のお姉さんはお礼を言ったことにビックリしている様だった。
「それでまた薬草取りでも良いかな?スライムなんかのモンスターも出てくるけど」
「うん!最初はスライムだよね!」
僕達は門を出て草原に向かう。丸い葉っぱの薬草を取りながら歩くと、
「ケント、スライムよ」
ポヨンとしたスライムだ!ドロドロじゃなくて安心した。
「せやっ!やっ!」
剣を振るうが中々倒せない。
「ケント、中の核をよく見てそこを突いて」
「でやっ!」
核をちゃんと貫けたようで、スライムはデロンとしてしまった。フレイヤが容器にスライムを入れる。
「これも安いけどギルドで売れるからね」
「分かった!」
それからホーンラビットやスライムを倒しながら色々と教えてもらう。
ホーンラビットの解体はやはり良い気分ではないが、やらなくちゃいけないからね。
「大丈夫?顔が青いわよ?」
「大丈夫!慣れるさ」
彼女の前で弱音ははけないからね。
アイテムボックスにいれるから僕達は二人とも手ぶらで探索を続ける。
「ケント!後退するわよ」
静かにフレイヤが叫ぶ。
何かあったのだと後退していくが途中でフレイヤが引っ張って走り出す。
「レイブボアよ!気性が激しいの!見つかってしまったわ」
「倒せないの?」
「今のケントじゃまだ無理よ」
二メートルほどの猪が突進してくる。二人とも横に避けて躱す。
「ウインドカッター」
初めての魔法を使って首を狙い放つ。
“ドシャァ”
「す、凄いわ!ケント凄い」
「やった!ちゃんと魔法が出たね!」
レイブボアは首を切られて倒れている。
近くの木に吊るして血抜きと解体を習う。
さすがに一回吐いてしまったが、なんとか次から僕も手伝えそうだ。
アイテムボックスにいれて今日はもうギルドに帰る。
ギルドに入ると、右に向かい部屋に入っていく。ここは買い取り所らしい。
「フレイヤか?何も持ってないじゃないか」
「あ、僕が持ってます。ここにだしても?」
ドッシリとした女の人がニヤリと笑う。
「アイテムボックス持ちかい?良いねぇ」
「じ、じゃあここに出しますね」
まずは薬草から、
「薬草かい、多いね」
「まだ他にもあります」
「じゃあこっちに出してくれ」
「スライムとホーンラビット、あとレイブボアもあるんですが」
「凄いじゃないか!それじゃあここに出しとくれ」
カゴを変えてくれるのでそこに出す。
「ほう!ちゃんと血抜きも解体もしてあるなんて流石フレイヤだね」
「ふふん、そのレイブボアはケントが狩ったのさ」
フレイヤはドヤ顔をしている。
「へぇ、見ない顔だからなりたてだろ?良い男捕まえたね」
「エヘヘ」
フレイヤが可愛く笑う。
「これを受付に持っていきな」
紙に書いてある金額が貰えるそうだ。
受付のお姉さんもビックリしてたが、レイブボアは結構強いらしい。魔法覚えておいて良かった。
お金を受け取りアイテムボックスにいれる。取り分は半々だ。
やはり冒険者は女の人のほうが多い様だ。
「男で冒険者やってる人もいるよ、でも魔法使いか治癒士だね。ケントみたいに剣を持って戦うのはあまりいないよ」
宿に帰ると二人部屋に替えてもらい、二人で部屋に入るとすぐにキスをせがまれる。
「エヘヘ、やっと二人になれた」
「あはは、そうだね」
キスをしてシャワーを浴びる。二人とも汚れているからね。
スッキリしたところで知りたいことがあったので聞く。
「男女比はわかったけど、性欲はどっちが上なの?」
「女かな?」
「やっぱりか、僕のところだと男の方が性欲ある人の方が多いかな?」
「そんなことあるの?」
フレイヤはビックリしている。
「こっちは女性が多いからだと思うよ?娼館はある?」
「男娼のこと?」
やっぱりそうなるのか。
「それも僕のいた世界じゃ圧倒的に女の人の方が多かったよ」
「え?需要があるのそんなの?」
「こっちとは違う世界だからね」
「そっかー、そうなんだね」
少しの違いが大きな変化になってるし、こっちの世界では魔法があるんだ、色々違うところがあるだろう。
レベルを見てみると
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忠野 健人
二十一歳
レベル6
力 E
体 E
知 E
速 E
魔 E
スキル 速読 鑑定 風魔法
ユニーク 異世界言語 アイテムボックス
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赤ん坊でもレベル1はあるらしいからようやく赤ちゃんを抜けたな。Eが普通レベルなのかな?これもまたこっちの世界特有のことだしな。
「フレイヤはレベルいくつなの?」
「私は36よ、まだ中堅ってとこね」
「へぇ、僕も頑張らないとな!」
「そんなに頑張らなくても私が頑張るから!」
フレイヤがフンスと力瘤を出す真似をする。女の子らしい体型なのに力あるんだもんな。
「そうだ、図書館ってある?魔導書が置いてあるんじゃないかな?」
「あるよ。でも魔導書読むのに時間がかかるから結構通わないといけないわよ?」
「大丈夫!僕には速読ってスキルがあるから」
「何それ?」
「本を早く読むスキル」
「ずるっーい」
「でしょ?」
僕の本好きも役に立ったな。
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