第6話魔導書について
「喋る魔導書とか聞いた事あるか?」
筋肉が、天音をペタペタと触りながら周りで、見ている客に聞いている。
みんな店の中心に集まってるから、変な感じになっている。
あの後、何回もクレアが魔術で、本から声が出ているように見せかけていると疑われた。
クレアも最初は、色々説明していた。
だが、話の途中で、お腹が空いたと言って、天音を筋肉押し付けるように渡した。
今はさっきまで客がいた丸テーブルで、こっちを見ている。
なんかすごく硬そうなパンをボリボリと食べている。
どう考えてもパンを食べてる音じゃないし、灰色だから石を食べてるように見える。
「おい!お前そのパンは、そのまま食べる物じゃないって何回も言ってるだろ!」
筋肉が、クレアに向かって怒鳴る。
やっぱりあの石みたいなパンは、そのまま食べる物じゃないのか。
「ほっときなよ。それより、この魔導書だよ。私も見た事ないな。音声魔術を使って、クレアの声を再現してるとか考えてみたけど、そうだとしたら、あなたとそんなに会話出来るわけない。多分、本当にこの魔導書喋ってるよ」
周りに集まった客の一人が、そう言って強引に天音を取り上げた。
「おい!!」
当然取り上げられた筋肉は、取り上げた人物に向けて声を出した。
あの巨体から俺を取り上げるなんて、どんな化け物だ?
そんな筋肉を超える化け物を見るために視線を上に向けた。
「女性?」
そこに居たのは、筋肉を超える化け物ではなくて、白い髪の女性だった。
見た感じ、クレアより年上だと思う。
てか、筋肉と身長並んでるってスタイル良すぎない?
足とかめっちゃ長いだろうなー。
「はぁ!?この美の究極生命体を見て、よくそんな事が言えるわね!どこに性別に疑問を持つ要素があるのか言ってみなさいよ!」
思いっ切り天音が、開かれていく。
「いだいだいだだ!裂けるちゃうから!!」
「ノエイン!!私の魔導書に何してんの!調べるなら、もっと優しく扱って!」
硬いパンを貪っていたクレアが、注意してきた。
「はいはい。ちょっと魔導書に躾をしていただけだって」
ノエインと呼ばれた女性は、クレアに言われると力を緩めて、普通に天音を開いた。
天音を開いてくれたおかげで、視野が広くなった。
それで気づいた事がある。
ノエインさんめちゃくちゃ露出凄いな。
大事な所以外布がないし、服とゆうよりただ布を付けてるだけって感じ。
「ノエインさんは、そんなに肌出してるんだ?それ服ってよりは、ただの布じゃん」
「はぁ〜。服で、私の体を隠すなんて罪深い事出来るわけないでしょ」
よく分からないが、ノエインにとってそれが常識らしい。
ただそれで、ほぼ全裸のような格好をするのは、中々やばい人なんじゃないだろうか。
「あれ?あんたの焚き火の魔術を記憶してるじゃん」
「うん。さっき燃やしてみたんだよね。やっぱり魔導書に書き込まれてた?」
「ちゃんと書き込まれてる。でも、それ以外は白紙で、何にも書かれてない。多分記憶タイプの魔導書なんでしょう」
どんどん新しいワードが出ている。
おそらく魔法を使える二人の会話は、知らない言葉ばかりで、ついていけない。
二人の会話は、まったく理解出来ないが、天音の中に何かが書かれているらしい。
「お二人さん。盛り上がるのは、いいけどち
ょっと説明してくれないと着いていけない」
やっとパンを食べ終わったらしいクレアが、ノエインの隣に来ていた。
この二人が並ぶと身長の差が、際立つな。
「魔術分からない人に説明するの面倒なんだよね。あんたの魔導書なんだから、ちゃんと教えてあげなさい」
どうやらクレアに説明を押し付けるみたいだ。
「ごめんごめん。とりあえずアマネは、魔術に当たると、それを覚える事が出来るって感じ」
なんでも魔術を覚えられる事が、出来る?
それめちゃくちゃチートじゃないか?
「それめちゃくちゃ強くない?つまりなんでも覚えられるんだろ」
「なんでも覚えられるよ。それが、記憶タイプの魔導書の強い所だからね。でも、当然弱点もある。その魔法を記憶するかは、完全に運って所が、弱い所だね」
「絶対に覚えられるわけじゃないのか」
「でも、アマネは違う。意思があって会話も出来る。だから、アマネは覚えたい魔術を覚えられる事が、出来るはずだよ」
異世界で、俺だけが持つ特別な力。
やっと楽しくなってきた!!
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