3

ニャンから言われたファミレスの席に1人で座り、アイスティーを見下ろす。

アイスティーのグラスの表面が涙を流していくのを見詰めながら、私も心の中で泣いた。




グラスを持ち上げるとテーブルに涙が溜まっていて、それを呆然と眺めながらアイスティーをストローで一口飲んだ。




「あ・・・ガムシロップ・・・」




そう呟いた時・・・




「使う?」




私服に着替えさっきやっと来たニャンがアイスコーヒーを片手に私の目の前に立ち、私の前の席ではなく斜め前の席に座りながらガムシロップを渡してきた。




「いいの・・・?」




「俺はこのままでも飲めるから。

・・・会長、相変わらず抜けてる所あるな!!」




ニャンが楽しそうに笑い、黒いアイスコーヒーをストローで飲んでいった。

その様子を斜め向かいの席から眺めてから、私もアイスティーにガムシロップを入れて飲んだ。




氷が随分と溶けてしまっていたからか、薄い味になってしまったアイスティーを。




「松戸さんは?」




「今こっちに向かってるって。

遅れてしまって申し訳ありません。」




「俺は何もないからいいけど・・・」




ニャンが気まずそうに笑って、私と視線を合わせることなく言った。




「担当変えて貰うことって出来る?」




そう言われてしまって・・・




「松戸に私から伝えておく。」




「うん、よろしくな。」




それから2人で無言になり、気まずい空気が流れた。




ニャンはスマホを触りだし視線だけではなく身体も私の方から背けだしてしまった。




そんなニャンに心の中で泣きながら聞いた。




「好きな女の子、置いてきて良かったの?」




「うん。」




短い返事だけがあり、私は薄くなっているアイスティーをストローでまた一口飲んだ後に言った。




「私、まだ1年目だけど結構仕事出来るよ?

それに担当は私だけど松戸が確認もするし・・・。」




「仕事が出来るだろうなとは分かる、会長だし。」




ニャンがそう言ってくれた後にスマホから私の方を見てくれ、顔をジッと見た後に気まずそうに笑った。




「告白して振られた相手と仕事とか無理だろ?」




ニャンがそう言った・・・。




そう言われてしまった・・・。




高校の時にずっと好きで、今でもずっと好きだったニャンからそう言われてしまった・・・。




会えたのに・・・。




久しぶりに会えたのに・・・。




そう言われてしまった・・・。

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