第13話

 ラウラが寝ている間、無防備になった彼女の谷間や太ももを思う存分視姦しまくった――、ていうのは半分冗談で時空転移魔法についてあれこれと実験していた。


 まず大きさだ。

 ラウラの乳はなかなかに立派だ。間違いなくD、あわよくばEはある――、パチンッと僕は自分の頬を自ら叩いた。


 そうじゃない。僕が言いたいのは魔法のサイズだ。

 昨日まではバスケットボール程度の大きさが限界だったけど、今日は直径が二倍近く大きくなっている。

 

 これは根拠の薄い仮定の話だけど、ゴブリンロードを倒したことでレベルアップした影響ではないかと考察している。

 さっきから魔法を連発しているが、黒球の最大直径が変わらないため使用回数によって大きくなる説は否定できるからだ。少なからず何かしらのトリガーは存在する。


 レベルアップ説が正しいのか間違っているのかは、この先魔物を倒していけば判明するだろう。


 それから野球ボールくらいの大きさまでなら無詠唱で発動することができた。

 さらに弾丸を撃つようなイメージで魔法を発動させると黒球を飛ばすことにも成功する。


 最大飛距離はだいたい十メートルほどが限界であり、射程を超えた途端、消失してしまう。

 球、もとい弾が対象と接触した瞬間、転移が発動するようだ。

 木の枝をワンドの代わりにして指揮棒のように振ってみると手をかざしたときと同様に魔法が発動した。

 詠唱して発現されたときも弾として飛ばすときも小枝を使った方が精度が高く、最大飛距離も倍近く上がることが分かった。


 うーむ、意外と時空転移魔法は攻撃手段としては優秀なのかもしれない。なんたって基本的に防御不可能だ。


 そして今でもこの黒球の中に入る勇気はない。


◇◇◇


 そしてそして何事もなく朝を迎えた。


 また僕らは歩き続き、最初の村に到着して納屋を借りてそこで寝て朝起きて、また歩く。

 野営、歩く。少し大きな町に着く。食材を補充して泊まる。朝になって歩く。


 歩く、泊まる、歩く、寝るを繰り返して六日が経った。


 王都に近づくに連れて町の規模が次第に大きくなっていると感じる。ラウラの身分を明かすと部屋を提供してくれる村長や町長もいた。

 ラウラ曰くあと四日もあれば到着できるそうだ。

 

 万事順調そうに見えるが、まったく魔物に出くわさなかったのは初日だけで二日目からは結構な頻度でエンカウントすることになった。


 魔獣に属するギガントグリズリーにファングウルフ、スターヴィンラビット、それからツインヘッドコンドルに加えて虫系のジャイアントワームにアイアンキラービーなど、この数日の間でなかなかラインナップに富んだ魔物たちと遭遇してきている。


 その度にボディーガードである僕が時空転移魔法で敵を倒していき、今のところ連戦連勝ノーダメージの完全勝利を収めている。

 

 家から持ってきた魔物図鑑によれば魔獣のスターヴィンラビットはBランクの魔物に該当し、獰猛で攻撃力が高くゴブリンロード単体より強いらしい。

 

 ゴブリンロードより強い魔物にも時空転移魔法が有効だと分かったことで、僕は自信を持って戦闘に挑めるようになった。

 しかし、あまり倒したという達成感はない。だってさ、転移させているだけなんだもん。

 

 転移先のことを考えて完全転移はしないように配慮している。生きている魔物が突然転移してきたら大変だからな。肉塊(にくかい)が突然出現してもホラーではあるが……。

 

 転移させているだけだが、倒してると判定されしっかりレベルアップしているようだ。球体の大きさは次第に大きくなっていき、連射もできるようになった。繊細な魔力のコントロールや精度も上がってきている。

 

 オーガやリザードマンなどの亜人族やドラゴン族とはまだ遭遇していないが、はっきり言って時空転移魔法は無敵である。

 最近では横たわったまま魔物と戦うという完全に舐めプ状態だ。

 

 ただし、空中を飛ぶ魔物や動きが素早い魔獣には、黒球を避けられることもあり注意が必要だ。

 不意打ちされて接近された場合も僕自身が弱いからとても危険である。さらに虫系は頭を転移させてもしばらく動き続けるから気を付けなければいけない。




 今日はここから先に野営に適した場所がないということもあり、ちょっと早めに静かな森の湖畔で夜を明かすことになった。


 んで、一週間近くラウラと一緒にいて気付いたことが一つある。


 当初は『こんなピンクの髪色したエロい身体の美少女と一緒に冒険ができるなんて、よっしゃーっ!!』なんて思っていたけど、彼女からはエロスをほとんど感じないのだ。


 いわゆる『綺麗すぎるとヌケない』現象である。


 いくらエロい目で見ようとしても自然と邪な気持ちが霧散しマイサンが萎縮してしまう。僕は絵画や彫刻などの芸術作品で抜けるほど変態レベルが高くなかったようだ。


 まあ、夜な夜な彼女を襲えるかといえばそんな度胸もない訳で、余計な気持ちが起きないことに越したことはないだろう。


 でも、やっぱりエロスは欲しい――、そんなことを考えながら湖に水を汲みに来ていた僕の眼前にあるものが映った。


 エルフだ。

 美しい金髪のエルフの女性が湖で水浴びをしている。


 彼女は何も身に着けていない。完全で完璧な曲線を描く裸体がそこにあった。

 僕は木の陰に隠れてエルフの水浴びを覗き見る。


 す、すごい……。

 ごくりと生唾を呑み込んだ。


 なにがすごいってもうエロエロなのだ。エロティシズム全開である。


 この世の物とは思えないほど綺麗さだ。さっき『綺麗すぎるとヌケない』と言ったが訂正しよう。

「例外はある!!」と大空に叫ぼう!


 それが正に彼女だ。絶対に永遠に何度でもヌケる自信がある。魔性の魅力とでもいうのか異次元のエロさである。


 すん、と鼻をすすると薔薇の甘い香りが鼻腔を刺激した。


 魅惑的な甘い香りも相まって、色々と溜まっていたせいなのか、僕はマイサンを制御することができず、触れてもいないのに愚息が勝手に暴発して果ててしまう。


 イッて後も次第に甘い香りが強く、濃くなっていった。


 あれ、なんだろう……。体が水面を漂っているみたいにふわふわしている。

 体から力が抜けていく。意識が遠くなっていく。


 まずい……これはきっと何らかの魔法だ……、意識を失ったら……、ダメ、だ……。

 

 瞼の重さに耐えきれず、僕はパンツも洗わず寝入ってしまう。

 

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