第一章 息子に春が来たようです?

「は…はあっ!?」

「こう見えても私は貴族なのだよ。安心して付いてきたまえ」

「いや、でも…」

「いいから」


ぐいぐいと俺の手を引っ張る。



押しが強いな、この青年!!



「あ、あの…俺には息子がいまして。だから手を放してもらえるとありがたいのですが…」

「む?そうなのか。では、息子も連れて行こう」



いや、離さんのかいっ!



嬉しそうな顔をして笑う貴族に、うなだれながら歩く平民。

周囲の人間が見れば、さぞかしおかしな光景にみえただろう。


「・・・・・・とほほ」


肩を落としながら、串焼きのおっちゃんの屋台を探す。


「ええと、確かこの辺りに…」


きょろきょろと辺りを見渡す。


「あ、お兄様!」

「ん?あれは…メリル?」


突然聞こえた女の子の声に、青年が反応する。


「あ、ととさん!」

「おん?」


声がした方を振り向くと、なぜか金髪美少女が息子の横にいる。















・・・なぜ?

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