第一章 なぜか連行されてます

「そうか…では、君は私が保護しよう」

「保護…ですか?ええと、失礼ですがあなたは…?」

「私か?私は…「おいおいおい、俺たちは無視かあ?」」


少しの間でも自分たちの存在を忘れられたことが悔しかったのか、スキンヘッドの男が茶髪の青年の言葉をさえぎるように叫んだ。


「む。ああ、すまない。のんびりと話している場合ではなかったな」


流れるようにして右手に構えていた杖を振り、「バインド」とつぶやいた。


「ぐえええっ」

「な、なんだこれぁっ!」

「くそが…!」


三者三様に叫びながら、地面から生えた蔦で拘束されていった。



ある者は宙づりに



ある者は地面でミミズのようにぐるぐる巻きに



またある者は大量に生えた蔦に巻き込まれ、手足が絡まり、動けぬ状態に・・・



「・・・・・・」



唖然とした表情を浮かべながら、俺にとっての救世主を見つめる。


「大丈夫かい?けがは?」

「あ、ええとないです、はい」

「それはよかった」


俺の無事を確認した青年は、人のよさそうな笑みを浮かべると、俺の手を取り、「ではいこうか」と歩き出した。


「ええと…どこへ?」


手を引かれて逃げるに逃げられないので、慌てて尋ねる。


「もちろん、私の屋敷だ」


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