第一章 うん、うまい

・・・というか、このおっちゃん、肉焼くのうまいな。


商品として提供している以上は当たり前だが、こんなに分厚い肉なのに、肉が固くなっていない。


なにか、塗り込んででもいるのだろうか・・・。



「・・・知ったところで、俺が作るわけではないしなあ」


普通に生きる分なら、堅めの肉でも事足りる。


人がわざわざ手間暇かかるものを売るのは、そこに需要があるからだ。



作るのは面倒くさいし、時間もかかるし・・・。


なにより、調理に時間をかけることで、自分の時間がなくなってしまう。


なら、買うしかないよね?


っていう思考の人間がほとんどってわけ。



・・・まあ、俺もその一人なんだが。



「・・・まあいいか」


考えるのも面倒くさくなった俺は、串焼きに集中することにした。


「うん、うまい」

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