第一章 食べ比べっていいよな
「ほれ」
「わぁ、おいしそう!」
手渡された分厚い肉を見て、子どもは瞳を輝かせる。
うむうむ、俺にもその気持ちはわかるぞ
やっぱり料理を仕事にしてる人たちにはかなわないわ
みるだけでよだれでそう
・・・おっと。
「タレ、こぼさないように気を付けろよ」
「うん!いっただっきまーす!」
はむっ
「あちっ!」
どうやら出来立てだったようで、慌てて果実水を飲んでいた。
「ははっ、ふーふーしてやろうか?」
「い、いいよ。自分でする!」
今度はふーふーっと息を吹きかけて冷ましてから食べている様子を見ながら、自分も一口かじる。
「うん、うまい」
おっちゃん特製のタレなのだろうか。
ほのかに柑橘系のさわやかな酸味のような味を感じる。
脂がのった分厚い肉とタレがマッチしていて、とてもおいしい。
何本でもいけそうだ。
もう一本買うか迷ったが、しばらく町に滞在するので時間はたっぷりあるから、また今度でもいいか。
「もっと食べたい!」
「・・・お、おう」
子どもって、なぜか親の考えを読めるときあるよな。
自分も食べたかったしまあいいかと、今度は塩味の方を二本買った。
「熱いの気を付けて食べろよ」
「わ、わかってるよ」
食べ比べのような形になってしまったが、塩味もなかなかいけるな。
脂でぬっとりしがちな口の中を塩のしょっぱさがなかったことにしてくれる。
タレとはまた違うさっぱり感で、とてもおいしい。
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