女王の秘密。

私、エマリアには3つ隠し事がある。

一つ目は、私は養子であること。

二つ目は…

「ルビー王国の王族出身で、ルビー王国女王、リリイは3つ子の姉だったこと。」

●15年前 ルビー王国王宮 旧王女ラリイの部屋

「お腹の子も、だいぶ大きくなってきたわ。」

「3つ子でございましたよね。おめでとうございます。」

「そろそろ病院へ行く頃だわ。支度をしてちょうだい。」

「はい、わかりました。」

●5年後 ルビー王国王宮 旧王女ラリイの部屋

「エリイ、リリイ、よくできたわね!あなたたちならこの国の女王になれるわ。」

「ありがとうございます、お母様。」

「ナリイ!!!しっかりしなさい!何よ、このテストの点数は!もう、この子が私のむすめだなんて、恥ずかしいったらありゃしないわ・・・。」

昔の私の名前はナリイ。母とリリイ、エリイからはとても嫌われていた。

「も、申し訳ございません!もう一度しっかり学習してからテストに臨みます!申し訳ございません!」

ペチン

「しっかりしなさい!」

母の平手打ちは想像以上に痛く、酷いものだった。今風に言えば、DVになるだろう。

そんな毎日を変えてくれたのがこの人だった。

「何を、していらっしゃるのですか?」

「あ、あなたは、アクアマリンの・・・!」」

「こんにちは、アクアマリン国王、ルイヒ・イバー・リリシュです。なぜあなたは平手打ちをしたのですか?こんな容姿端麗で可愛い少女を。」

「この子の成績が悪いからよ。何?国王だからってあなたは他の家庭の子育てに口を挟むのかしら。私はそうはさせないわよ。私だって一つの国の王女・・・。」

「分かっていますよ。ただ、少しお願いしに来ただけです。」

「何かしら?」

「あなたの娘さんを僕にくださいませんか?」

「はぁ?何を言ってるの。私の大切なエリイとリリイは渡さないわよ!」

「僕はその子たちを欲しているわけではありません。ナリイさんが欲しいのです。」

「ああ、その子なら好きにして。私はこの子達さえいればいいわ。ただし、この子は本当にひどい子。どうなっても知らないわよ。」

「分かっています。あなた方も、後悔しないように。では、ナリイさん、行こうか。」

「は、はい・・・。」

ここからの人生も真っ暗闇。そんなことを思い込んでいた私が間違いだった。だって、お父様が愛情たっぷりに育ててくださったもの。

●アクアマリン王国王宮 旧王ルイヒの部屋

「君は今日からうちの子だよ。でも、前の家でつけられた名前じゃな・・・。そうだ、君の名前をエマリアと名付けよう。君の名前は、『エマリア・イバー・リリシュ』だ。」

「よ、よろしくお願いします!」

そうして、私はルイヒさん、お父様の子供になった。

「お父様、一緒に遊びましょう!」

「いいね、なにしてあそぼうか。」

「お人形遊び!」

「ようし。じゃあ、今からたくさんの人形持ってくるから。あ、そうだ。もう一人お姉さんも連れてこよう。少し待ってて。」

「はーい!」

「おい、ミグ、今僕のお付きのS級メイドは王宮内にいるか?」

「はい、サエさんとサヨさんなら・・・。」

「そうだな・・・、サエはいつも忙しそうだから、サヨを連れてきてくれ。人形も持ってくるようにと言っておけ。」

「承知いたしました。」

私は、それからサヨさんと遊ぶようになった。

「私、サヨさんだーいすき!」

「ふふっ、ありがとう、エマリアちゃん。」

「サヨ、後で話がある。」

「?はい、分かりました。」

● アクアマリン王国王宮 廊下

「俺と結婚してほしい。」

「え!?」

「エマリアがサヨのこと大好きなんだ。お母さんになってほしいとも言ってる。俺もサヨのことを守りたい。だから、お願いだ・・・!」

「ふふっ。ルイヒ様のエマリアちゃんへの思い、伝わりました。」

「ってことは・・・?」

「はい、喜んで!」

お父様はサヨさん、お母様と結婚した。私は、お父様、お母様、そして私の生活がとても楽しかったと思える。でも、一つほんとうに悲しいことが起きた。

「エマリア、落ち着いて聞いてくれ。」

「お父様、急に改まって、どうしたの?」

「サヨが・・・、サエに刺されて殺された。」

「・・・!どういうこと?」

私は、事態がうまく飲み込めなかった。後で事情を聞くと、サエさんはお父様のことが好きだったらしく、嫉妬からお母様は双子のサエさんに殺されたという。

もちろん、国の大事な王女様を殺したとしてサエさんは公開処刑となって、ギロチンにかけられた。

私とお父様は光のない目で彼女を見つめていた。 サエさんは、泣いていた。

「も、申し訳ございません・・・!」

「お前の声も聞きたくない。殺れ。」

ジャキン

鈍い音が聞こえた後、彼女は息絶えた。

それからというもの、私たちはお母様の死を乗り越え、二人で支え合って生きてきた。だけど・・・。

●13年後 アクアマリン王国王宮 ルイヒの部屋

「お父様、絵を書いたの!」

「どれどれ、見せて・・・。ゴホッ、ゴホッ!」

「ルイヒ様!大丈夫ですか!?」

「すぐ救急車を!」

お父様は、病気で突然死した。

「お、お父様・・・!!お父様!!!」

私は、お父様、お母様を失った。

それからは、私は一人称をわらわにしたり、性格を大きく変えた。


「そして今のわらわがある。」

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