舞踏会での出来事・トルマリンの執事事情

●アクアマリン王国王宮 鏡の間(戦争を始める少し前のこと)

「みな、よく集まってくれた。わらわと顔を合わせるのも初めての貴族もいるじゃろう。先にわらわの自己紹介といこう。わたわはアクアマリン王国女王、エマリア・イバー・リリシュじゃ。前の王の遠い親戚じゃ。これから先、色々な貴族の人たちからも支援をもらうじゃろう。これからも、アクアマリンをよろしく頼むぞ。」

〜拍手〜

「リシュー様。」

「おお、ターミ大臣ではないか。どうしたんだ?」

「エマリア様が今踊る準備ができたと情報が入りましたので、これからはエマリア様とお過ごしくださいませ。」

「分かった。では下がっていいぞ。」

「はい、失礼いたします。」

●アクアマリン王国王宮 鏡の間 準備室

コンコンコン

「エマリア殿はいらっしゃいますか?」

「誰じゃ?まあ、開けて良いぞ。」

ガチャ

「エマリア殿、トルマリン王国王子のリシューです。舞踏会で共に踊れるとは光栄です。どうぞよろしくお願いします。」

「おお、リシュー殿であったか。こちらこそ急な誘いで悪かったな。では、家臣たちに真ん中のダンスホールを開けておくよう言っておいた。では行くとしよう。」

「ちょっと待ちなさい!」

「誰じゃ、お主は。」

「私は王子の妹、ミシュー・ユーヒ・リリバーシュ!お兄ちゃんは渡さないから!」

「リシュー殿、妹がおったのか。」

「そ、そうです・・・。ちょっとミシュー!今回は大事な舞踏会なんだから、勘弁してくれ・・・。」

「お兄ちゃんと踊るのは私なんだから!」

「ちょっと、ミシュー・・・。」

「そんなに兄と踊りたいか?」

「もちろん!私のお兄ちゃんなんだから!」

「なら、踊っても良いぞ?わらわはお主の家族でもない。ただ国女王というだけじゃ。リシュー殿もそれで良いじゃろう?」

「え、いいんですか?」

「もちろんじゃ。また踊れるときに踊ろうぞ。」

「は、はい、ありがとうござ・・・。」

ペチン!(平手打ち)

「ちょっとミシュー!!なんて事しているの!」

「お、お母様・・・!」

「エマリア女王は大切なパートナー国の女王じゃない!こんな大切な日に、兄と踊りたいだなんて、国同士の会話に口を出すんじゃないわ!はぁ、こんなだったらもっとちゃんと教育してから連れてくるべきだったわ。リシュー、あんたも女王様と踊りたいって妹を遮りなさいよ!それが兄としての態度ですか!」

「申し訳ございません・・・。」

「ミシュー!執事にもうミシューは帰らせるよういうから!エマリア様、私の娘と息子が申し訳ございません・・・。ちゃんとした態度で参加させるよう、これからもしつけます・・・!ミシュー!!来なさい!」

「・・・。」

「嫌だ!お母様、離して!嫌だ!!!!」

パタン

「あの方は、お主のお母様か?」

「は、はい。お母様はきつい性格で・・・。怖かったですよね・・・。では舞踏会に行きますか。」

「そうじゃな・・・。」

●アクアマリン王国王宮 鏡の間

「では、貴族、王族のみなさま!準備はよろしいですか?では、始めましょう!」

〜音楽〜

「あら!あの新しい女王様とトルマリンの王子様が一緒に踊っていらっしゃるわ!」

「あの二人、婚約などしているのかしら!」

「でも、あの女王様、遠い親戚なのに女王様になったのでしょ?」

「何か秘密があるのかしら・・・?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る