アクアマリン執事の事情・舞踏会パーティ

概要__女王のお付きとは?___

女王に付き、エマリアの身の回りの世話をできるごくごく少数がなれる仕事。

現在はメイド長のニーナ、召使い長のシーズ、アクアマリン兵隊長ヨシーがついている。

●アクアマリン王国王宮 執事の間

「ニーナ様、少しお話よろしいでしょうか?」

「あら、新入りのウミじゃない。エメラルドガーネットでの生活は慣れた?

日本?でしたっけ。そちらとは文化が違うものね。どうしたの?」

「はい、私女王のお付きになるため試験を受けたいと思いまして、ニーナ様に許可をいただきたくてきました。」

「あら、きっとあなたならなれるわ。あなたは独学でガーネット語を覚えたのよ?素晴らしいじゃない。では私からエマリア様には伝えておくわ。試験日はまた後で。」

「分かりました。では、失礼します。」

「おい、ニーナ。」

「あら、シーズじゃない。どうしたの?」

「新入りのウミにお付きの試験を受けさせるつもりか。ただでさえ彼女はエメラルドガーネット以外の国出身なんだぞ。そんなやつに受けさせるなんて、エマリア様に無礼にもほどが・・・。」

「なに?あなたには関係ないじゃない。これはメイド長の私が決めること。召使い長のあなたに決める権利はないわよ。」

「でも・・・!」

「あなたの身内が日本の国の奴にやられたのは知ってる。でもそれとこれは違うじゃない。

あなたはもしウミが試験に落ちたラッキーぐらいな気持ちで考えておきなさいよ。でもウミは優秀よ。多分あなたの望みは叶わないでしょうね。」

「・・・。」

「あなたは何歳?」

「26だ。」

「あら、一つ上の先輩だわ。先輩に言うのもなんだけど、国で人を判断しちゃいけないわよ。

私の家系は貴族でね・・・。よく私の父親も国で人を判断してたわ。例えば、『ダイヤモンドは

今戦争を起こして治安が悪いから、ダイヤモンド出身の執事は全員クビ』とかね。あなたもそうならないように気をつけなさい。」

「わかった。だが、お前も先輩への言葉遣いは気をつけたほうがいいぜ。」

「うるさいわね。用が済んだら出てってちょうだい。」

「わかってる。出てけばいいんだろ?全く、休憩しようと思ったら・・・。」

「ニーナ、ニーナはいるか?わらわじゃ。わらわの部屋へきてくれ。」

「あら、エマリア様が私をお呼びだわ。あ、今日はエメラルドガーネットの貴族たちが舞踏会へ来る日じゃない。私は用でしばらくいないから、メイドのこともよろしく頼むわよ。それではお元気で。」

「ああ、了解した。」

●アクアマリン王国王宮 エマリアの部屋

コンコンコン

「ニーナでございます。ドアを開けてもよろしいでしょうか?」

「うむ、開けてよいぞ。」

「失礼いたします。用があるとお聞きいたしましたがいかがなさいましたか?」

「今日はエメラルドガーネットの貴族たちが舞踏会に来る日じゃろう?あとルビーの女王、トルマリンの王子も来るんじゃな。」

「はい、おっしゃる通りでございます。メニューは全て5つ星のシェフが作り、貴族様たちに失礼のないよう勤めてまいります。」

「うむ、承知した。それでだな、わらわも舞踏会で踊ろうと思っているのじゃが、ぜひトルマリン王国の王子と踊りたくてのう、連絡を入れておいて欲しいのじゃ。」

「トルマリンの王子・・・、リシュー殿ですか?」

「そうじゃ!あと知りたいことがあるのじゃが、よいか?」

「はい!なんでしょうか。」

「リシュー殿は何歳じゃ?」

「少しお待ちください・・・。あ、今わかりました。リシュー殿は16歳でございます。」

「おお、わらわと同い年じゃな。」

「そうですね。では私の方からトルマリンの方に電話をしておきます。」

「うむ、よろしく頼む。」

「あ、あとエマリア様。メイドのウミがエマリア様のお付きになるための試験を受けたいと話しておりまして・・・。今度空いている日に受けさせてあげられないでしょうか?」

「ウミ・・・。ああ、あの日本生まれのウミか。もちろんよいぞ。明後日が空いているからそこで良いか?」

「もちろんでございます。では、ウミに伝えておきますね。」

「うむ。では下がってよいぞ。」

「はい、失礼いたします。」

●アクアマリン王国王宮 鏡の間

「あら、シュダーさんじゃないの。」

「あ、キーウさん。こんにちは。」

「貴族で舞踏会なんて久しぶりですわね。」

「ええ、そうね。改めて私が特別な貴族ということがわかるわ!」

「おお、お主たちはシュダー殿とキーウ殿ではないか。わらわはアクアマリン王国女王、

エマリア・イバー・リリシュじゃ。よろしく頼むぞ。」

「あら、あなたが今の女王さん?小さい子供ねぇ!」

「こんな子供が大きな国をまとめられるのかしら?笑っちゃう話だわ。」

「私なんて何年も前から貴族なのよ〜?私のほうが上の立場なの。」

「王族なんてねぇ。王宮から出れないし、退屈じゃない!」

「おい、ニーナ。」

「はい、エマリア様。」

「シュダー殿とキーウ殿を舞踏会から追い出し、貴族をやめさせるのじゃ!」

「かしこまりました。」

「ちょっと、何よ急に!」

「離しなさいよ!」

「お主らはわらわの悪口を言った。よって貴族失格じゃ。」

「ちょっと何よ!待ちなさいよ〜!!!」

「ニーナ、よくやってくれた。」

「いえいえ。すごいことは何もやっておりません。」

「では楽しいパーティーの始まりじゃ!」

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