第9話 『SAVE THE CATの法則』式、紹介文の書き方
皆さんは「紹介文」で本文のどの程度が開示されている作品を読みたいでしょうか。
100%? 始まりから終わりまですべての展開を前もって知り、それでも十万字を読む意欲は湧くでしょうか。
普通100%が書いてあったら、その小説は誰も読みません。「紹介文」で物語の隅々までわかり満足してしまうからです。
だからといってまったく内容に触れないのもよくありません。
紹介文はなんのためにあるのか
読み手に「この小説はこんな物語だから最高に面白いよ!」と売り込んで、ぜひとも読んでもらうために「紹介文」はあります。
100%、すべてを書いてしまったら「こんな物語だから最高に面白いよ!」が伝わっても、本文を読む必要がなくなります。
ですが、「逆境にあるどんな主人公に、あることが起こって、それを解決しようとあることをしたんだけどうまくいかなくて、どん底で(起死回生を図る)」物語というくらいの「紹介文」は欲しいところです。
最終的にどうなるか、まで明かす必要はありません。それを書いたら100%になってしまいますからね。
本当にそこまで書いてしまっていいのでしょうか。
あなたが読み手になったときを考えてください。
タイトル・キャッチコピーで「面白そう」と抱いた期待から作品をクリックして「紹介文」を読みますよね。
そこで内容がほとんど書かれていなかったら。
面白いかどうか判断できませんよね。
そんな小説を読もうと思う人がどれだけいるでしょうか。一割もいればよいほうでしょう。
多くの読み手は「面白そう」と思わない限り第1話をクリックなどしません。
大手と零細の違いはあれど、同じタイトル・同じキャッチコピーでも第1話PVに大きな違いが生じます。それが「紹介文」の力なのです。
どんな紹介文がよいのか
では、どんな「紹介文」がよいのでしょうか。
「逆境にあるどんな主人公に、あることが起こって、それを解決しようとあることをしたんだけどうまくいかなくて、どん底で(起死回生を図る)」物語。
これで全体の75〜80%は書いていると思います。
ここまで書くとこの小説が「面白そうかつまらなそうか」の判断ができます。
でもそんなにバラしてもだいじようぶなのでしょうか。
だいじょうぶなんです。
そもそも「面白そう」と思わせなければ第1話すら読まれないのですから。
出し惜しみなどしている余裕はないのです。
全力で「この小説は最高なんです!」とアピールできなければ、せっかく時間をかけて書いた小説が一文字も、つまりまったく読まれない可能性すらあります。
読めば名著なのはわかるのに、どうにもタイトル・キャッチコピーが悪い、「紹介文」が悪いというだけで1文字も読まれないなんて小説投稿サイトではざらです。
個人ブログではなく小説投稿サイトに掲載するのはなぜですか。
多くの人に読んでもらいたいからです。
なのに「紹介文」を失敗したがために第1話PVが低いのでは想定とは大きく異なりますよね。
だから「紹介文」では出し惜しみをしてはなりません。
『SAVE THE CATの法則』と連載Web小説の差
とはいえ第1話しか投稿していない状態で全体の「75〜80%」も「紹介文」で書いてしまってだいじょうぶだろうか。そう思いますよね。
ここで『SAVE THE CATの法則』と「連載Web小説」の差が見えてきます。
脚本術の教科書である『SAVE THE CATの法則』では「紹介文」でそこまで書けと言っています。場合によっては出し惜しみせず100%をログラインで示せというのです。
それは「完成された脚本がすでに存在するから」可能となるのです。
全体の「75〜80%」の内容を書いてしまっても、興味を持った時点でその脚本は売れますし、すぐに全シーンが読めるのです。
ですが「連載Web小説」は、どんなにすぐれた「75〜80%」の「紹介文」を書いても、初回に投稿されているのはたかだか第1話2000〜5000字程度です。
これではどんなに面白そうな「紹介文」でも焦らされてしまいます。そして「面白そう」なのにフェードアウトされてしまうのです。
連載Web小説の紹介文対策
では「連載Web小説」ではどうすればよいのでしょうか。
まず考えられるのはPV対策で行なっていただいた「第1エピソードを初日からまるまる投稿する」方法に合わせます。
つまり「第1エピソード」の「75〜80%」の「紹介文」を書きます。
そして連載が進むと、「紹介文」もどんどん続きを付け加えていくのです。
連載が終わった段階で全体の「75〜80%」の「紹介文」で終えれば完璧です。
「紹介文」で「面白そう」と思わせてクリックしてもらい、連載では「紹介文」で書き及んだ部分を越えることで知らないワクワク感を抱かせて、「これは面白い!」と思ってもらう。そのためにわざわざ残り「20〜25%」を書かないのです。
☆とフォローが欲しいときこそ紹介文が効く
いくらPVが高まっても、☆とフォローが付かないとランキングを駆け昇れない。
だから今欲しいのは「☆とフォロー」だ。
そんな方こそ「紹介文」を活用していただきたい。
つねに投稿されている話数の「75〜80%」の「紹介文」を意識してください。
「紹介文」に書いた部分は☆となって「面白さ」を評価されます。
「紹介文」に書かない部分はワクワク感を抱きながら読みますので、そこが面白ければフォローとなって「期待値」を評価されます。
つまり☆とフォローを獲得するには、「紹介文」が尺度となっているのです。
「第1話」を読ませるために「紹介文」が誘って、「第1話PV」となって表れます。
「紹介文」に書いた部分が面白ければ、「☆」となって表れます。
「紹介文」に書いていなかった部分が面白ければ、「フォロー」となって表れます。
これで「紹介文」の重要性はおわかりいただけたかと存じます。
紹介文はショートショートと思え
「紹介文」を書くとき、どうしても根幹ばかりで修飾の「枝葉がない」文章になりがちです。
それでは「面白そう!」と思わせる「紹介文」にはなりません。
「紹介文」は小説本体の入り口であり、本文ではどのような表現がなされているのかを知らせる「試し読み」にも相当します。
そのうえで設定した「タグ」はすべて盛り込むのです。
本文を縮尺したのが「紹介文」とお考えください。
つまり文を飾る「枝葉」をしっかりと取り入れた「紹介文」は、それだけで強い吸引力を発揮します。
紹介文はあまり長くても読まれづらくなるので、だいたい500文字程度で収めましょう。
「500字のショートショート」に文章を飾る「枝葉」も盛り込むのです。
これで、あなたの「紹介文」は見違えます。
私は今リハビリ中で、枝葉を落として根幹だけで勝負していますが、これはWeb小説というよりツイート小説に近いですね。「小説投稿サイト」を利用している以上は「Web小説」に適した「枝葉」のある「紹介文」を書きましょう。
できれば毎回本文を投稿した後に「紹介文」も改めたほうがよいのですが、執筆しながらだとなかなか余裕もありません。
そこで「1章刻み」または「1エピソード刻み」で「紹介文」を改めていきましょう。
古くなった「紹介文」のままでは、☆に相当する「面白さ」を担保できなくなりますからね。
とくに初回投稿時に設定した「紹介文」のまま、というのがいちばんよくありません。
タイミングを見計らって「紹介文」を改めていきましょう。
最後に
今回は「紹介文」について述べました。
完成原稿のある脚本を基にした『SAVE THE CATの法則』と、連載前提の「Web小説」ではアピールの仕方が異なっていて不思議はありません。
小説賞やコンテストで読者選考などなく、完成原稿を下読みさんに読んでもらうのであれば全文の100%が書かれた梗概が求められます。
ですが『カクヨム』のように連載しながら読み手を増やしていくには、「紹介文」をうまく操らなければなりません。
そこにさえ気がつけば、あなたも私も、PV、☆、フォローの三位一体を手に入れられるのです。
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