飾られた牡丹編

第22話:えっちな本

 Reader【唯】

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「どうしてこうなっタ……」


 永遠ちゃんは一人、やる気満々の私達を前に頭を抱えていた。


 それは3時間前に遡る……






 ◇◇◇◇◇






「レッツ、ショッピング!」

「テンション高いなぁ」

「ニャハハ、それが唯だからナ」

「ですです!」


 待ちに待った日曜日、私たちはいつものショッピングモールに来ていた。

 ここは祐希くんと永遠ちゃんがデートに来た場所でもある。

 ……少し羨ましい。


 ホントは影でコソコソっと見ていたかったけど、ぐっとこらえることにした。


 偉い!私!


「そりゃテンションも高くなるってもんよ!なんたって今日は軍資金お小遣いがたんまり入ったからね!」


 小学生の懐事情はほんとに世知辛い。

 高校生のようにまとまったお金があるわけでもなく、バイトもできない。なので月々のお小遣いと、なにか大きな行事のときのボーナスがほんとに貴重。


 でも、図書券には困らないのよね。なぜかたくさんもらうから。これ、小、中学生あるあるだと思う。


「わかりますぅ、私もを買うのに困らないんですよね」

「知人からの誕プレはだいたい図書券だよナ」

「まぁ、その話はいいんだけど」


 今は水着!


「え!?見ろ見ろゆーき!メキシコサラマンダーの販売会だっテ!」

「え!?ドコドコ!?サラマンダー!?強そう!」

「いや、メキシコサラマンダーは俗に言うウーパールーパーのことデ―――」

「その話もいいけど!」


 私もすっごい気になるけど!


「あぁ!?あっちにはハダカデバネズミ販売会もやってます!」

「「えぇ!?ドコドコ!?」」

「その話もいいけど!」


 ものすっごく気になるけど!


「今は水着よ!」


 盛り上がりそうな話を強制定期に切り上げ、水着ショップへと足を向ける。

 陰キャからは程遠い、海というイベント。

 普段のだったら敬遠しそうな行事だけど、は、あまりそうは思わなくなった。


 むしろ楽しみ!


「……ハァ」

「……どうかしました?」


 永遠ちゃんがため息を付いて落ち込んでる?


「いや、なんでも無いヨ」


 うーむ、濁された。永遠ちゃんは嘘がうまい。

 ギャルゲーのキャラとして、【嘘拭き】というスチルを持ってたくらいに。

 よって、永遠ちゃんに嘘を吐かれると、誰も気づけずに終わる。


 ちなみにゲームで二番目に嘘が上手なのが祐希くん。

 この二人はその嘘の精度と、天性の身体能力を使ってあることをするんだけど……内容を忘れてしまった。


「あ、あそこにはコモドドラゴンの販売会が……」


「み!ず!ぎ!今は水着なの!」


 ……でも、そこで私は恐れることに出会った。

 山の格差成長度、という恐怖に……






 ◇◇◇◇◇






 水着を選び終わってから、私たちはその足のまま祐希くん宅へとお邪魔することになった。


 ん?私達の水着選びはどうなったか、だって?

 えへへ、野暮だなぁ。そんなの持ち越し水着回に続くに決まってる。


「ただいま」

「「「おじゃましまーす」」」

「永遠、先に部屋に案内しといて、俺お菓子とか持ってくから」

「はーイ、みんなこっちだゾー」


 永遠ちゃんの先導で祐希くんの部屋に向かう。その間にも、ついキョロキョロと周りを見渡してしまうのは、しょうがないことだと思う。

 今世はまだ一度も男の子の家に遊びに来たことはないし、前世でも、極稀なことだったからだ。


「ここだヨ、まァ、何もない部屋だけド、ゆっくりくつろいでくれヨ」

「なんであんたが部屋主みたいな態度なわけ?」

「ニャハハ」


 そう可愛く笑って、我が物顔でベッドに座る永遠ちゃん。

 ちょっと焼いてしまいそう。


「結構きれいですねぇ」


 ベッドからデフォルメされたサメのぬいぐるみを抱きかかえて、両腕をパタパタさせる愛美。

 今は髪を解いて、胸くらいまでのロングになっている。


 ……胸、いや、忘れろ私。


「……あ」


 そういえばと、部屋主祐希くんがいてはできないイベントを終わらせてしまうこととし、永遠ちゃんに話しかけた。


「永遠ちゃん、ちょっとベッドからどいてくれない?」

「ん?どうしたんダ?」

「実はね」


 こそこそと永遠ちゃんに内容を伝える。


「……可愛そうだからやめてあげないカ?」


 元同性ということも合って、流石に共感できるところがあったのだろう、私の意見に反対の声を上げた。


「私は気になる方に投票します!」

「2対1!よって!」


「この部屋にあるエッチな本を探します!」


「どうしてこうなっタ……」


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 おまけ:好きな食べ物

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 愛美「永遠ちゃんって好きな食べ物なんです?」


 永遠「砂肝は最高の食べ物ダ。塩コショウであっさりと味付けして串に差し、焼くだけのおてがる調理、好き嫌いは分かれると思うガ、砂肝を一口頬張ってからのキンキンに冷えた缶コークで〆るのが最高にクゥゥゥ………って感じなんだヨ(早口)」


 唯「随分とオヤジ臭いのね。愛美は?」


 愛美「私は南高梅のはちみつ漬けですかね。甘酸っぱい味わいに、はちみつ特有の匂いが鼻からすうっと抜けてく、ほっぺが痺れてくる感じがしてたまらないんですよね。今世ではまだ食べれてないんですよぅ。唯さんは?」


 唯「私?わたしはもちろん二色そぼろ丼!卵は甘くなくスッキリとした味わいで、鳥そぼろのほうが甘いのが好きね。多少重たくなっても卵だけが持ってるのホロ甘い感じでリセットできるから、米と合わせて無限に食べれるわ」


 永遠&唯「……唯(ちゃん)ってかんじだナ(ですね)」


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