第13話:これがNTRなのかナ……

「いやぁ、厄介だったわ、新井田先生の睡眠導入は」

「厄介って言うほど抵抗してないだロ、そういうのはせめてもう少し耐えてから……って!なにサボることを許容しているんだ私ハ……」


 場面変わって4時間目後の、給食前の休憩時間。


「ふぅ、あれでいいのかしら」

「まぁいいだロ、私がだってことモ、多分わかったと思うナ」


 まあ、とわちゃんが言うのであれば、そうなのだろう。


「まあ、また昼休みってことね。彼女も考えることあると思うし、カレーも一晩寝かせたほうが美味しいってもんよ」

「うん、考える時間ってのは大事だよナ。あと飴はさっきやったからもう無いゾ」

「ちっ」


 そんな事を言っているうちに、目の前を祐希くんが通り過ぎた。


「ん?お〜!ゆーき!今日のお昼ごはん一緒に食べヨ〜!」

「ん?あぁとわ、ゴメンだけど、今日は田中さんと畑中さん、あと伊藤さんと食べる約束だから」


 といって、クラスメートの女子3人の名前を上げる祐希くん。それを聞いたとわちゃんは……


「…………………………」


 固まってたよ。ピッシィ―――って音がなりそうなくらい、きれいに。


「ぁ……ぁ……」

「そういうことだから、じゃ」


 といって、机を持って3人のところに向かう祐希くんの背中を、とわちゃんは哀愁漂う感じで眺めていた。






 ◇◇◇◇◇







 拝啓、前世のお父さん、お母さん。そちらでは元気にしているでしょうか。私は今。


「あ゛ァ゛〜……」

「元気だしなよ……」

「何言ってるんダ、唯?私はいつもどおりだゾ」

「もうね、どよ〜〜〜んって効果音が聞こえてくるのよ。あなた食べたい物が食べれなくて落ち込んでる子供にしか見えないわよ」

「畜生、何も言えねェ」


 何故か落ち込んで机に突っ伏している江戸川さんと唯ちゃんに連れられて、空き教室にいました。


「あァ……コレがNTRねとられカ……」

「そもそも寝てない定期。どっちかと言えばBSS僕が先に好きだったのに、もしくはWSS私が(略)じゃない?」

「私とゆーきの間に恋愛感情はないヨ……」


 うーん、本編に登場しないはずの子が祐希くんについて悩んでます。いやそもそもこの子誰?この前の発言あなたと当たり前の恋バナから関係者ってことはわかるんだけど……


「はぁ、ごめんね。あ、気にしないでいいわよ。この子、趣味祐希くんみたいなとこあるし」

「アハハ……」


 うん、正直こっわぁ……


「じゃ、ウチの参謀がこんなんだからまず私だけで説明させてもらうわ」

「ア、ハイ」


 机に顔を押し付けたままの江戸川さん、いや、永遠ちゃんを一瞥した後、唯さんは私に話し始めました。

 それから私はこの世界についてと、江戸川さんの立ち位置を聞きました。


 どうして忘れてたんだろう。あな恋は私の生きる糧だったのに。

 どうして忘れさせられちゃったんだろう。あな恋は私にとって生きる価値そのものなのに。


 どうして思い出せなかったんだろう。江戸川さんは……永遠ちゃんは、私の人生の希望だったのに。


そう思うと、私は自分の不甲斐なさに涙が出てきます。


「っちょ!? 大丈夫!?」

「っ! はい! なるほど、ギャルゲー側!」

「えぇ、あなた、やったことある?」

「ありますあります。今思い出しました。確かはじめからプレイできるキャラは唯と愛美と永遠だけだったので、ここから祐希さんが他のヒロインと接触することはないですね」

「そうだったわね、ってことは、新ヒロインが加わるたびにわかるヒントが増えていくって感じかしら」

「そーらしいナ」

「お、復活?」


 ムクリととわちゃんが机から顔を起こした。うん、美少女。どうしてコレで漫画に登場しなかったのでしょうか。


「これからは、私たち三人にヒロインが接触してくることになル。ということは、各々の連絡が大事に成ってくるわけダ。んで、お二人さん、現時点でゆーきに恋愛感情はあるカ?」


「「ないわね(です)」


「私もない、てことは、まだ本編にすら入っていないってことダ」

「本編は中学校から、ですもんねぇ」

「中学校に入ったら、あんたの暑苦しいパーカー姿を見なくても良くなるかもしれないのね」


 とわちゃんはなぜか春終わりにも関わらず、パーカーを着込んでいます。まだまだ寒い日は続くこともありますが、見ているこっちが暑くなってしまいます。


「なんとかしたら?万年パーカー女。8月でもパーカー着てるときはビビったわ」

「あぁ、夏真っ盛りのときにパーカー着てるバカって、とわちゃんのことでしたか」

「仕方ないだロ。この身体、日焼けに弱いんだヨ……」

「難儀ねぇ、東欧の血っていうのは」

「おばあさんがロシア人なんですっけ?」


 きれいな金髪にきれいな碧眼。おそらく、ヒロインの中でもトップクラス、下手したら生徒会長を抜かしてNo.1に輝くかもしれない美貌。

 女性の私でさえも生唾を飲むような、妖艶な魅力がある。小学校3年生でコレなのだから末恐ろしい。


「それじゃ、今残っている問題は、とわちゃんが祐希くんに嫌われたってとこなんだけど」


 ガンっと、結構痛そうな音を立てて、とわちゃんがまた机に突っ伏す。


「チョッ!?鼻血!鼻血出てるわよ!?」

「あわわわわ、ティッシュティッシュ!?」


 この人ほんとに恋心がないのだろうか、と疑問に思いながら、唯ちゃんとひたすらなだめる役に回った。


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 主人公ヒロインくんちゃんが漫画に登場しなかった理由は、この子が登場するシナリオが一つを除いてバッドエンドしか無いからなのです。


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