第7話:彼女もまた同郷のよしみ

「え〜ト、なんのようかナ……」


 中間休み、空き教室に移動した永遠と唯は向かい合って立っていた。出口側に唯が立っているため逃げることができない。よって、表面上の笑みを浮かべるだけしかできない。


「そんなに怖がらないでよ、わたしはただあなたに聞きたいことがあっただけだから」

「それが怖いっていってるんだガ「なにか?」ヒッ―――イエナンデモッ」


「イヤーアハハ……」と愛想笑いを浮かべながら、打開策をねろうと相手の顔色をうかがうと―――


 笑っていた。満面の笑みだった。


(いや、こーわ)


 打開策なんて思いつかない。


 ポーカーフェイス、という言葉がある。まあ、相手の内心を探らせないようにするものだが、コレには2種類あると個人的に考えている。


 最初に素面の表情、そして笑顔の表情。


 笑顔なんてポーカーフェイスになるのか、と思われがちだが、普通のよりも一回りは強力と考えられる。


 理由としては、笑顔は完成形だからだ。


 例えるならばポ○モンのイ○ブイだろうか。

 進化前のイ○ブイはその後ブ○スターにもシャワ○ズにもサ○ダ―ズにもなれるが、笑顔は最初っからグレ○シアなのである。コレ以上変わりようがない。


 何が言いたいかと言うと。


(笑顔のままが一番こえ〜)


 しかし、こちら側も開幕から笑顔である。よって、相手側も先程からまぶたをピクピクさせていた。


「ねえ」


 警戒度をマックスまで上げる。無論相手に悟らせないように。


「あなたはなんでいるの?」

「いきなり存在を否定されたんだガ?」


「いやね、あなたがいることを攻めてるわけじゃないの、でもなんであなたがいるのかなって」

「それはクラスメイトとしてカ?それともゆーきの知人としてカ?」

「後者」


 ???


「いやね?実は私、まえまえから祐希くんのことは知ってたのよ、でもあなたのことは見かけなかったからどうしてかなって」

「???言ってる意味がわからなイ」

「あぁ、うん、私の方でも随分とんちんかんなこと言ってるなって思ってるから」


 ……まさか。


「当たり前の恋バナ、というフレーズに引っかかるものはあるカ?」

「まさかあなたも!?」

「……決まりだナ」


 静江唯は私と同じ転生者である。






 ◇◇◇◇◇






「質問1つ目、いつのタイミングで気づいタ?自分が転生者だト」

「物心ついた頃から、としかいえないわね」

「ふム、私も同じだナ」

「気がついてからすぐに祐希くんと接触を図ろうとしたけど、まずどこに住んでるのかもわからなかったし……」

「そうカ」


 となると最初から接触できてた私はラッキーだったな。


「質問2つ目、静江唯としての意識はあるのカ?」

「というより、静江唯のなかに前世の意識がのっかってきたかんじね」

「くわしク」

「静江唯というごはんのうえにのっかってきた前世という卵でTKG卵かけごはんみたいな」

「例え方が独特でよくわからン」


 静江唯ってこういう例え方してたか?……いや、してないな。


「……つまり静江唯がパソコン、前世がHDDってことでいいカ?」

「ん〜それもちょっとちがうのよね〜」

「ふム?」


「私の感じ的にはどっちもメインディッシュって感じ」

「あァ、つまりはどっちが強いとかはなくて、どっちも天秤ってことカ」


 どっちの人格も同じくらいの勢力って考え。


「そーじゃないかも」

「ふむむゥ……」


「カレーライスみたいなかんじ、もしくはオムソバ」

「つまり両方の人格があって、いまの静江唯だト」

「あ!それそれ!解釈一致だわ」

「ははーン、理解。あとおまえおなかすいてるのカ?」


 つまりレシ○ムとキ○レム混ざってホワイトキュ○ムってことね、なっとく。


「3つ目の質問ダ、ゆーきのことをどうおもってル?」

「好きっていうのは保証していいわね。でもまだ完璧に好きってわけじゃなくて、なんかこう、前世と混ざった意識のなかで、前世の記憶が好意的に思わせてる感じ。無理やり好きにさせられてるなんて意識は全く無いわ。好きかどうかはまだ曖昧ね」

「理解」


「最後の質問ダ、おまえ前世はどんなだっタ?」

「ぜんせ?バリバリの花の陽キャJKでしたが?」

ダウト嘘だナ、目線が右上に動いタ、瞬きの回数が多イ」

「え、えすぱー!?」

「ノン、ノーマルな人間ダ」

「……オタサーの片隅でラブコメ漁ってた根暗だった記憶しか憶えてない」

「……前世も女だったカ?」

「えぇ……え゛、あんたまさか」

「察しがよくて助かル」


 そう……私は男だったのだ……


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 この展開に賛否両論あると思いますが仕方のないことなのです……

 主人公ヒロインくんちゃんだけを転生者にすると物語的にヒロイン力が高くなりすぎてしまうとの判断なのです。

 結果このような展開にならざるを得なかったのです。


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 作者の別の小説もみてくれると嬉しいのです。

【無糖(ブラック)よりもビターなダンジョン攻略配信生活を!】

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