第6話:アイサツからの◯刑宣告
次の日。
「みんな、今日からみんなの先生になる狩谷葉子です、よーこせんせいってよんでね!」
「「「「「はーいよーこせんせー!」」」」」
「はいよく言えました!じゃあ早速授業を始めたいと思います。みなさん、宿題はちゃんとやってきましたか?」
「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」
宿題、というのは自己紹介カードだ。自己紹介に何を言うのかを決めてカードに書く。まあ書くと言っても名前、誕生日、好きな食べ物、好きな遊び、好きな動物、クラスに一言くらいだ。
「じゃあまず相葉翔くん」
「はい!ぼくのなまえは、あいばしょうです!たんじょうびは8がつ13にちで、すきなたべものは―――」
という感じで進んでいく。
「江戸川永遠ちゃん」
「はイ、私の名前は江戸川永遠ダ、誕生日は5月12日デ、好きな食べ物はあんこをつかった和菓子とチョコレート、好きな遊びはスマブラ、すきなどうぶつは猫デ、最後二、私と友だちになってくれる子募集中ってとこだナ」
―――おぉ〜
クラスから感嘆の声が上がる。自分たちと同じ年に見えるのに、言っていることは一つ前に話した子とだいたい一緒なのに、どこか大人っぽい印象を受けた今の挨拶。
そんな尊敬からくる視線、男子からの好意的な視線、女子からのちょっぴり嫌悪的な視線を総なめにして、流れるように席に戻った。その内心は―――
(ッ……ハァ……フゥ……)
跳ねる心臓、荒くなる呼吸、震える手、止まらない冷や汗。
(大丈夫、ここはあそことは違うんだ。ステイクール……)
(乗り越えるんだ、私は江戸川永遠、俺とは違う……)
「とわ……とわ!」
「!ゆーき……」
隣の席の彼に小声で話しかけられる。もう永遠は、笑ったらいいのかすらわからない。そんな気持ちを知ってか知らないでか。
「いまさらだけどさ、同じクラスでよかったよな」
ふっと目が見開かれる。目に見えて青くなっていた顔にすぅ、生気が戻る。固まってた口角がグニャグニャと弧を浮かべる。
「……あァ!」
(大丈夫、ひとりじゃない)
と、背筋にゾワッとくる視線を感じる。
「〜〜〜っ!?」
バッと振り向くと―――
「……」
まるでこの世のすべてを呪い殺そうとしてるような目をした唯と目があった。急いで顔を前に戻す。
(何だ?まだこの段階では唯はゆーきに恋心はないはず!?)
ちらっと後ろを伺う。
にっこりした彼女と目が合う。
(あ……死んだわ私)
それから少しして。
「静江唯ちゃん」
「はい、私の名前は静江唯です。誕生日は4月7日で好きな食べ物はいちご、すきなあそびは絵しりとりで、好きな動物はレッサーパンダです。最後に―――」
ニヤリと笑みを浮かべた唯は、何を思ったのかこちらを振り向き―――
「えとかわとわちゃん……だったっけ、よかったら後で話さない?」
―――死刑宣告ですカ!?
上がった口角の端から血を垂らしながら、永遠はうなずくことしかできなかった。
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