第31話◯俺はもう【劣】じゃない。
意識が次第にはっきりし、改めて自分の姿を確認してみる。
まず言えることだが、もう骨の体ではなくなっている。
全身が包帯に巻かれており、素肌は露わになっていないものの、上から触ってみれば骨の上に
しかし人間の体を手に入れた、と言うには体が頼りなさすぎる。
マミー…つまりはミイラということは、中身はガリガリパサパサだろうし、内臓もないぞう状態だ。
まだまだ人とは程遠いだろう。
まぁ、今のところ人間とコミュニケーションをとるという予定も目標もないし、今後に期待ということで。
姿形について他には、おそらく他の「マミー」とやらと一線を画するような様相もしている。
包帯に、本当に細かな記号が書き連ねられているのだ。
詳しく説明するなら、青白い綿紗の上に血のような赤い色で文字らしきものがミミズのように殴り記されている…という感じ。
説明にあったように、おそらくこれが呪い……なのだろうか?
自分に呪詛が刻まれているというのはなんとも落ち着かないが、たぶん効果自体は有利に働いてくれるはず…。
とりあえず、能力を見れば何かわかるかな。
==============================
個体名:ーーー
種族名:マミー・タブー
位階:
存在値:9000
[能力]
生命力:427/427
魔力 :841/841
攻撃力:92
防御力:85
抵抗力:486
敏捷力:241
==============================
視界の端にステータスが表示される。
傍らで見るだけでも、かなり能力が変動しているのがわかる。
魔力と抵抗力、敏捷力が跳ね上がっているものの、生命力や攻撃力、防御力はだいぶ控えめになっている。
これもまた説明でわかっていたことだけど、やはり現状の戦闘法とはアンマッチだな。
今後、新しい戦術を開拓しなければ…。
となると、新しいスキルや特性についても知っておきたいところだ。
==============================
[スキル]
《NEW》
【不浄の加護】【呪縛】【呪爪】【呪斬】
[特性]
【マミー】【呪刻の繃帯】
==============================
また新たにウィンドウが展開される。
しかも今回は、新しいスキルを分けてくれている親切仕様。
なんだか、進化するたびに機能も易しくなっている気がする。
それはぜひ歓迎したいことだ。
……で、新しく手に入ったのは4つ。
まぁ長らく確認してなかったし、進化に伴って…ではなく獲得したスキルもあるだろう。
とりあえず確認していこう。
〜〜〜〜〜詳細〜〜〜〜〜
【不浄の加護】
魔法スキル。
一時的に【光耐性IV】の特性を獲得する。
効果発動中に攻撃した対象に精神系の『毒』を与える。
【呪縛】
魔法スキル。
対象に『呪い』を与え、敏捷力を0にする。
また発動中、対象のスキルの効果にマイナス補正。
【呪爪】
魔法スキル。
自身の手の先に、『呪い』の爪を生成する。
これによる攻撃をした時、対象に『呪い』を与え、上限生命力を削る。
解呪されると元に戻る。
【呪斬】
魔法スキル。
『斬撃』をもつ『呪い』の刃を発射する。
命中した対象の上限生命力を削る。解呪されると元に戻る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
全部名前どおり、みたいな効果だ。
どれも使いやすそうで何よりである。
まず【不浄の加護】はアンデッドの弱点を克服できるという上で、非常に有用そうだ。
光を喰らったら致命傷どころではない俺にとって、重要なセーフティネットとなるだろう。
だが、今いる場所はアンデッド系しかいない。
アイツらは光系なんて使わなさそうだし、毒はそも効かないしで……、出番は当分先になりそうだ。
【呪縛】は非常に使いやすいスキルだ。
相手を拘束できるというのは攻守ともに有用である。
おまけにスキル効果も弱体化できて、抵抗も許さない構え。
今後お世話になるだろう。
【呪斬】……、読み方はジュザンでいいのかな?
遠距離に斬撃を飛ばす……これは即戦力かつ主力級になるだろう。
今のところ唯一の、能動的に発動できる遠距離攻撃手段である。
今後の戦法の軸となるに違いない。
【呪爪】については……、まぁどうなんだろうな。
接近戦で強そうではあるが、俺はヒョロガリ貧弱なマミーになってしまった。
戦法も遠距離からになるだろうし、少しアンマッチである。
最大HPを削れるらしいし、接近してきた相手への牽制としては役立つだろうか。
とりあえず、【呪斬】があって良かったな……。
なかったら、こんな貧弱ボディで殴り合うハメになっていただろう。
ステータス的にそれは不安しかない。
特性のほうはどうなっているだろうか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【マミー】
包帯に覆われたアンデッドの特性。
存在値が大きいほど、『呪い』の効果が上がるようになる。
【呪刻の繃帯】
呪詛の刻まれた包帯を纏う者の特性。
触れた相手の全ての能力にマイナス補正。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
前者はマミー全般の特性か。
シンプルであるが、敵を倒すほど強くなれるのはかなり良い。
主戦力がだいたい『呪い』な以上、有用さは揺るがないだろう。
後者は「マミー・タブー」の固有…かな?
全ての能力にマイナス補正……、「微弱」とか「小さい」とかの文言がない。
ということは、かなりのデバフを期待できるのでは?
だとすると能動的ではないが、触れるだけで大当たりみたいな特性じゃないか。
若干チート感がある。
……そんなに強いから、位階も上昇したのだろうか。
=================
位階:
存在値:9000
=================
存在値が9000まで上昇。
伴ってか、位階がもう【
把握漏れでなければ、これは存在進化したことによるもの…といって良いだろう。
進化するだけで存在の格は上がる……、そう考えると「マミー・タブー」はこの世界に大きな影響をもたらす存在なのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます