第17話◯新たな体、新たな力


 卒倒するような感覚から解放され、意識もクールダウンする。


 明滅していた視界もいつしか落ち着きを取り戻し、元通りに…いや、以前よりも鮮明に世界を映し出している。

 

 そんな視界に、自分の体を映す。


 真っ白だった骨は、墨汁のように黒く。

 血管のように張り巡らされた赤い紋様が、それを背景におどろおどろしく存在感を放っている。

 

 さぁ、ステータスはどうなったか。


==============================

個体名:ーーー

種族名:カース・スケルトン

位階:劣参位レッサー・サード

存在値:1354

[能力]

生命力:443/443

魔力 :101/101

攻撃力:70

防御力:70

抵抗力:94

敏捷力:28

[称号]

【覆す者】


[スキル]

【META】【密化】【投石】【呪いのまじない】【窮地脱却】【必殺拳】【足枷の呪い】【牙抜きの呪い】【呪詛の外套】


[特性]

【骨の身体】【アンデッド】【憤怒の紋様】

==============================


 おぉ!!


 魔力が三桁台にまで、抵抗力もそれに肉薄している!


 生命力はなんでか減ってるけど……代わりにスキルが3つくらい増えている。

 おまけに、特性がひとつ追加されているし。



 なるほど。

 これが進化……か。


 突然変異種といえど、実態はほぼスケルトンの上位互換だ。

 心配は結局杞憂だったかな。


 それに、物騒な名前の種族に変化するのは若干抵抗あったけど、この漆黒の体もかっこいいな。


 赤の紋もアクセントの役割をしっかり発揮して、厨二病……いや少年心を刺激する。


 進化は結果的に正解だった。

 まぁ、もともと俺が不安がりなだけだったんだが。


 

 …で。

 増えたスキルも確認しようか。

 トレントを倒したあたりで、もうそれなり増えていたしな。


 解説くんお願い!


〜〜〜〜〜スキル詳細〜〜〜〜〜

・【窮地脱却】

生命力が低下し、かつ拘束など危機的状況の時、スキルの効果と抵抗力にプラス補正。

・【必殺拳】

防御力を無視した、強烈な物理的攻撃。

使用者の生命力が大きく低下する。

・【足枷の呪い】

魔法スキル。

対象に『呪い』の敏捷力マイナス補正をかける。

・【牙抜きの呪い】

魔法スキル。

対象に『呪い』の攻撃力マイナス補正をかける。

・【呪詛の外套】

魔法スキル。

使用者に『呪い』をかけ、使用者の3分の1の抵抗力と生命力耐久力をもつ外套を纏う。

この外套に攻撃した時、攻撃者に微小な魔法ダメージ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 レシートの如く、長いウィンドウが眼前に展開。

 解説くんいつもありがとう。


 

 まず、老木を倒した時に持っていた【窮地脱却】と【必殺拳】。


 前者は、根っこの高速から抜け出したときに手に入ったのかな。

 条件は限定的だが、起死回生の手段となるかもしれない。


 後者は……トドメの一撃を放った時か。

 代償付きだが、強力な一撃を見舞える、と。

 

 使用には慎重になるべきだが、最後の一撃で無理矢理突破する時に重宝するはず。



 そして、呪い三銃士


 【足枷】はまんま、相手の機動力を制限できる。


 これは汎用性が高そうだな。

 逃走する時も、逆に追う時にも、はたまた戦闘中にも使えそうだ。


 【牙抜き】は攻撃力を下げる、か。

 【密化】と合わせて、防戦の際には必須になるかも。


 そして最後の【呪詛の外套】。

 名前からしてかっこいいが、効果は……どうなんだろう。


 ダメージを防いでくれる装備みたいのを、一時的に纏える…みたいな感じだが。

 微弱ながら反撃も可能らしいけど。


 外套のサイズにもよりそうだ。

 小さすぎたら防げるものも防げないし。

 

 ちょっと使ってみようかな。



 【呪詛の外套】


 念じた瞬間、体から黒い何かが吹き出し、全体を包み込む。


 しばし怪しげなモヤは、最終的になんともいえないオーラに収まった。


 大きさを例えるなら、トレンチコートくらいのサイズ。

 頭は守れないけど、これなら結構使えるかもしれない。


 かなり持続…というか多分、壊れるまで永続だろう、コスパはかなりいいかもしれない。


 効果は俺の能力を参照するみたいだし、強くなれば強くなるほど真価を発揮するだろう。

 そのときにこのスキルの必要性がどうなっているのかは、知るところではないが。


 

 あと、そうだ。

 新たに手に入れた【称号】と【特性】も確認しようか。


 そもそも称号って───


〜〜〜〜〜【称号】〜〜〜〜〜

特定の条件を満たすことで手に入る。

所持することで様々な補正や効果を得られる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 おっと、助かる。


 なるほど、ただかっこいいというだけでなく、実用的な効果なんかも得られるわけだ。


 じゃあ、俺の【覆す者】とやらはどうなんだろう。


〜〜〜〜〜【覆す者】〜〜〜〜〜

状況を覆した者に与えられる称号。

所持者が「何かしらを覆す」と決意した時、スキルの効果にプラス補正。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 「何かしら」って……ずいぶんと曖昧だな。

 「決意する」とかも基準がイマイチはっきりしないし…。

 

 効果自体は有用性は十分にある。

 だが、狙って発動させるような代物かといわれると…首を傾げてしまう。


 まぁ、あったらいいねくらいに思っておくか。



 じゃあ、特性の方はどうだろう。

 名前からちょっと身構えてしまうが…。


〜〜〜〜〜【憤怒の紋様】〜〜〜〜〜

強烈な怒りを孕む者に表れる。

他の生物に『恐怖』を与える。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 やっぱり度し難い効果だった…。


 なんだ、他の生物に恐怖されるって。

 悲しきモンスターみたいじゃないか。


 別に俺、怒りなんて抱えてないし…。

 判定が杜撰すぎでは…?


 

 ま、まぁ、今のところ友好的な関係を結べそうな存在とは出会でくわしてないし、これからもしばらくないだろう。


 襲われにくくなったと考えれば、全然良特性…のはずだ。うん。



 はぁ。

 ま、確認はこれくらいでいいかな。

 

 新しい体と、新しい力をもって心機一転、頑張っていこう。


 とりあえずまた、この霊園を彷徨うかな。

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