第11話◯確かな進歩
意識が戻ったことで、無事に位階上昇が完了したことが告げられる。
前の機会ではあまり変化を感じられなかったが、今回は違う。
少しではあるが、位階アップによる影響と思われるものが見られた。
まず、胸に開けられた穴がすっかり修復されている。
生きている人間目線で考えればとんでもない重症であったのにも関わらず、今は何事もなかったかのように穴が消えているのだ。
そういえば前回も、体がスケルトンと殴り合いした時にできたヒビが無くなっていた。
あまり注意していなかったけれど、似たような効果が出ていたのかもしれない。
となると、位階の上昇を行うと傷やら損傷が回復する、と予想できる。
これはかなり有用な情報だ。
予想が正しければ、もし仮に重大な怪我を負っても、位階さえ上げれば全快できるということになる。
病院も救急箱も回復できそうなスキルもない中で、その機能は非常に便利だろう。
まぁ意識を失うから、ダメージを負っている時に行うのはリスキーではあるんだが。
……で、もうひとつの影響。
それは、これは完全に主観というかお気持ち程度なんだけど、世界が鮮明に見えるようになった。
なんというか、位階を上げる前よりも世界が明るいというか、きめ細やかに映るというか……そんな感じ。
でも本当に微細な変化だ。
例えるなら…そうだな。
美容院に行ってきた女性くらいの変化だ。
どう変わった?って聞かれたら、回答に困るような。
……まぁ、それもこれも、俺の感覚が鈍いだけな可能性が大いにあるのだけど。
目に見えてわかったのは、これくらいだ。
もっと上になってくれば、変化も顕著に現れるのかもしれないが、まぁそれは追々ということで。
とりあえずステータスの確認はしておこう。
==============================
個体名:ーーー
種族名:スケルトン
位階:
存在値:590
[能力]
生命力:357/357
魔力 :28/28
攻撃力:42
防御力:42
抵抗力:29
敏捷力:14
[称号]
[スキル]
【META】【密化】【投石】【呪いのまじない】
[特性]
【骨の身体】【アンデッド】
==============================
おぉ?
なんか結構、ステータス伸びてないか?
正確な値の変化はわからないけど、一部数値は十の位が一個上がるくらいには伸びている気がする。
……あぁ〜いやでも。
たしか、存在値が上がることでもステータスは上がるんだよな。
位階上昇でも上がるから、この大きな伸びはその2つが合わさった結果かもしれない。
骸骨鳥を倒した直後のステータスは確認してないし。
…でも、意外とサクサク成長するものだな。
こう、目に見えて成長すると嬉しくなる。
俺はRPGとか育成ゲームが好きだから尚更に。
自分を育成するというのもなんだか変な感じがするし、この世界基準で見たらこの成長も大したことないのかもしれないけど。
ま、今はひとまず喜んでおこう。
…で、最も注目すべきはスキルだ。
なんということでしょう、2つもスキルが増えているではありませんか!
【投石】というなんとも言い難いものと、【呪いのまじない】といういかにもファンタジックなもの。
とりあえず解説を求む。
〜〜〜〜〜【投石】〜〜〜〜〜
『石』を投擲する際に発動。
目標への命中精度と命中時の威力に微弱なプラス補正がかかる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜【呪いのまじない】〜〜〜〜〜
魔法スキル。
対象に『呪い』をかける。
効果対象が使用者に対して攻撃する際、
対象に微弱な魔法ダメージと、抵抗力の微弱なマイナス補正を与える。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【投石】の方は、なんとなく予想はついてたけれど、限定的なプラスのパッシブ効果という感じだ。
微弱な補正というのがどれほどかはわからないが、まぁ条件の狭さ故にあったらいいねくらいの評価かな。
【呪いのまじない】の方は…、なんと魔法スキル。
習得はだいぶ先になりそうって思っていたが、まさか矢先に獲得できるとは。
だがしかし、効果の方は…どうなんだ?
攻撃を喰らいそうになったら発動するという、なんとも受け身な条件。
効果もダメージとマイナス補正をかけるのはいいが、またしても「微弱な」という文言がついているし…。
名前に「まじない」とあるあたり、本当にオマケ程度の効果なのかもしれない。
そうだとしたら…、というかそうじゃなくても、だいぶ俺のもっていた魔法のイメージとかけ離れている。
もっとこう、炎ブワーッ!!って感じのを想像してたから、受け身で控えめな効果なのはちょっと憧れていたものとは違う。
…まぁ、アンデッドは炎苦手らしいし、どっちみちスケルトンの俺はそういうスキル獲得できなさそうだけど。
しかし、こうやって説明を受けているだけでは見えてこないものもあるだろう。
実践してみないと正確な評価はできない。
少しばかり、検証してみよう。
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