第10話 サクサク上昇


 

 無事、勝利を収めることができた。


 オートで動いていた体の主導権が舞い戻ってきて、俯瞰していた意識もフッと一人称へと戻る。


 それと同時に、昂っていた心も落ち着きを取り戻した。

 オート機能に任せていた時は異様に血気盛んな思いだったのに、切れたら一気にスンッと冷える。

 賢者にでもなったかのようだ。


 【META】というスキルには好戦的にさせる効果でもあるのだろうか。

 そうだとしたら、少し怖い。


 勝手にガンガン行こうぜ!されてダメージを負っては、こっちの肝が冷える。

 冷やす肝を持ち慌てはいないけども。


 解説を聞いても「NO DATE」としか出ないし、使用には慎重になるべきか…?



 ……まぁ、とりあえずは様子を見ておこう。

 有用であることは間違いないわけだし、用法容量を間違えなければチートに違いない。


 そんな風に自問を納得させたところで、頭にあのアナウンスが響く。

 

 『存在値が一定値に達しました。位階の上昇を行うことが可能です』


 おっと。

 もう位階上げられるんだ?


 存在の格を上げる、ということだから、もっとバーサーカーレベルで敵を倒していかないと上がらないのではと思っていたが、そうでもないのだろうか。

 それならそれで、楽だから良いが…。


 いやもしかしたら、俺がまだまだ底辺であるからかも。

 

 えーっと…、れっさーふぉおす?に上げるのも、そこら辺のスケルトンをただ倒しただけで可能になった。


 レベル1だと雑魚のスライムを倒すだけでレベルが上がるように、この世界でも弱い奴ほど位階が上がりやすいのかも。

 そう考えると、余計にゲームみたいな世界観だ。


 まぁ、スケルトン達がめちゃくちゃレベリングに最適という線もあるけど。



 ……で、位階上げはもちろんやろう。

 

 『位階の上昇を行いますか?完了までに時間を要します。その間意識はシャットダウンされます』


 [推定:21.13秒]

 

 確認のアナウンスと、時間表示のウィンドウが同時に現れる。

 

 所用時間がちょっと伸びてるな。

 本当に数秒もないくらいの差だけども、これがもっと上にいったら物凄い時間を奪われるのではないか。


 やはり上に行けば行くほど、存在値や所要時間といった、コストのようなものが大きくなるシステムかもしれない。


 でもまぁ、今は大した時間でないのは事実なので、問答無用で位階は上げます。

 ということで、お願いします!


 『位階の上昇を開始します』


 ゴッソリと吸われるように、意識が飛んでいく。

 抜け殻のようになった体がドサリと倒れる音を最後に知覚して、視界が真っ暗になった。



〜〜〜〜〜〜〜【META-LOG(非通知)】〜〜〜〜〜〜〜

……………

▼ユーザーの意思を確認しました。

▼【位階】の上昇を開始します。

……………

▼【位階】の上昇が完了しました。

 【劣肆位】から【劣参位】に昇格しました。

▼スキル【呪いのまじない】を獲得しました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

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