第7話 骸骨徘徊、解説大会
とりあえずジッとしても仕方がないので、辺りを彷徨うことにした。
ただ、步けど歩けど墓石が浮かび上がってくるだけで、風景はなんの変わり映えもしない。枯れた柳のようなものが垂れていたりするけれど、それ以外の植物なんかはほとんどないし、本当にモノクロで殺風景な世界だ。
いったいなんなんだこの霊園は。
あまりにも広すぎるんだが。
地平線のどこまでも続くような気がするぞ。
それに、もっとなんか、管理所みたいなところとか墓を洗うための水道とかがあってもいいはずなのに。
恐ろしいほど何もない。
……いや、スケルトンがウヨウヨしてる辺り、あまり人が近づかない場所なのか?
永らく人も来ず、鎮めの見舞いがなくなったことによって死者が復活するとかなんとかって、どこかの漫画か何かで見たことがある。
ここはもう使われていないところなのかもしれない。
スケルトンで思い出したけど、道中、のそのそと歩く骸骨とすれ違うこともあった。
身構えて戦々恐々としてたけど、拍子抜けで、急に襲ってくることなんかはなかった。
体感、100m歩いたら2、3人遭遇するくらいの頻度。
どれも襲ってきたり飛びかかってきたりすることはなく、むしろ俺を知覚していないかのようにも思えた。
最初に遭遇したヤツはいったい何だったのか。
アイツ以外はただぼーっと立っているか、おぼつかない足取りで彷徨っているだけ。
一切の生気を感じない。死体にソレを感じる方がおかしいけれど。
アイツらは何なんだろうな。
出所がまず気になる。
各々の墓の主だったりするのだろうか。
だとしたら、殴り倒すのもやっぱり気が引けてしまうが。
それにどういう原理で生まれるのかも疑問だ。
骸骨が動くって普通に意味わかんないからな。
先に述べたフィクションのように、オカルティックな要因かもしれない。
いや、ここは異世界だというのだから、もっとファンタジーっぽいかも。
例えば、そうだな。
魔力によって生み出されるとか。
ベタだけど、モンスターってそういうイメージがある。
そういえば、ステータスにもあったけどこの世界には魔力という概念があるらしい。
イマイチ、「魔力持ってるな〜」って感覚は無いけど、一応は俺も保持しているみたいだし。
この世界において、魔力とはどんな立ち位置なのだろうか。
〜〜〜〜〜【魔力】〜〜〜〜〜
この世界の生物及び物質に宿るエネルギー。
物の理を捻じ曲げ、超常的な現象【魔法】を引き起こすことができる。
魔力を消費するほど、より強大な現象が発生する。
消費された魔力は、一定時間が経過するか、特殊なポーションを使用することで
回復することができる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
おわっ。
眼前に、あのウィンドウが現れる。
どうやら、自動解説機能くんが反応したらしい。
なんと気の利くやつだ。
えーっと……なるほど。
おおよそ予想のついた解答だったけれど、やっぱりこの世界には魔法があるか。
魔力があれば魔法もある、と相場が決まってるもんな。
使えたりするのかなぁ。
俺もオトコノコだから、そういう類のものにはどうしても憧れちゃう。
どれくらいの魔力があればいいんだろう…。
ってか、どうすれば使えるのか…。
〜〜〜〜〜【魔法】〜〜〜〜〜
魔力を使用して引き起こした現象を指す。
消費された魔力の大きさで規模が変化する。
最低限、10以上の魔力量が必要。
【魔法スキル】とも言われる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
================
魔力:20/20
================
それも教えてくれる、やっぱり優しい解説君。
しかも、そんなピンポイントなステータス表示もできたのね。
ふむ。
10以上ってことは、一応魔法を使うことはできるのか。
しかし【魔法スキル】とある通り、それを獲得しないと使用することはできないらしい。
肝心のそれはいったいどうやって手に入れるんだ?
教えて解説くん。
…。
…。
…。
あ…、無視ですか。
さいですか…。
スキル獲得方法は教えてくれないらしい。
自分で探せってことだろう。
くぅ、飴と鞭というやつか。
そういえば、どうやって俺はスキルをゲットしたんだっけ。
ステータスを見ると、なんか2つくらい持っていたけれど。
確か、いずれも気づけば…、って感じだった。
俺が何かしたというわけでもないはず。
でも、そんな都合よく手に入るモンでも無い気がするんだよなぁ。
ちくしょう。
魔法を使うのは当分先なりそうだ。
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