4 母とのなれそめ

それから現代史に戻る。

創世の英雄の子孫。原罪のシルヴィアはそんな父の手をとって、共に世界を回り、父は次第に人間への不信感を和らげていったそうだ。

……嘘は言っていない。

相当強引に迫ったらしいがな。

ああ、もう聞くな聞くな。

何百年も童貞だった男に、10数年生きただけの小娘が迫った馴れ初めなんぞ聞いても為にならない。

仕方ないだろう。俺は両親の記憶を共有しているんだから。

男女のあれやこれやも見えちゃったんだよ。……今は記憶の引き出しの管理もマシになったがな。


……そうだな。シルヴィアに打算がないとは言わないよ。

血狂いのオリヴィエの呪いでかなり切羽詰まっていたからな。

そうだよ。

お前も知っている事件を引き起こした元凶さ。

そんな顔するな。

お互いガキで、あんなものどうしようもないんだから。

まあ、今は父の話だ。


そんな原罪のシルヴィアが死んだとき、父が彼女の後を追おうとしたのは言ったことがないな。

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