赤い海
夕陽が遠くのビル群に差し掛かり、辺り一面がオレンジ色に照らされる。
足元には赤色の海が広がる。見たことのない、とても綺麗な景色。
こんなにも綺麗な世界なのに、私なんていてもいなくても何も変わらないのが、ちょっと悲しかった。
そんな時、優しく懐かしい匂いがふわっと香った。何だろう、と辺りを見回すと、この世界で唯一私を愛してくれた母がいた。
ありがとう。会いにきてくれたんだね。
ふわふわと涙が宙を舞う。
頭上のビル群に夕陽が昇っていく。先程まで色鮮やかに光っていたオレンジの光や赤い海が消えていく。
どうやら、夢の時間は終わりみたい。
ありがとう、お母さん。
「ごめんね」
都会に広がる赤い海は、とても悲しかった。
黯然失色のレゾンデートル ヤマイココロ @yamaikokoro
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