365 秘密兵器が多すぎる

 前回までのノブレス・オブリージュ。


 ノブレス学園祭を前、ヴァイス率いる中級生はコスプレカフェで売り上げ一位を狙おうとしていた。

 対する強敵はエヴァ率いる上級生。

 事前に確認した情報によると、奴らはメイドカフェを行う。


 負ければたゆんを揉まれ、勝てば揉み放題といった謎の勝負も。


 結果はいかに!?

 

 いよいよ開幕!


 ――――――――――


 学園祭がついに幕を開けた。

 例年通り魔法鳥が校内を飛び回り、開始の合図を響かせる。


 ポイントには関係ないものの、上級生に売り上げで勝つために気合を入れた。


 相手はシエラとエレノア、プリシラ、ニール、そしてエヴァ。


 ……なんか、名前を羅列すると恐ろしく感じるな。

 いや、弱気になるな。

 これは戦闘バトルじゃない。知恵を使った衣装コスプレバトルだ。


 俺は下級生のときと同じ実行委員のバッチを胸元に付けていた。

 別にやりたくはなかったが、お前しかいないぜ! と言われてしまったからだ。

 コスプレにも詳しくないというのに……まったく。


 ちなみにノブレスの学園祭は一般の参加はできない。

 よって、廊下は生徒たちであふれかえっていた。そのひとクラス、俺たちのコスプレカフェは既に廊下に長蛇の列ができていた。


「ヴァ、ヴァイスくんっ」


 走る魔力娘カルタ。

 たゆんたゆんたゆんたゆんたゆん。

 

 猫耳と長い尻尾を付けた獣人。

 何が一番凄いのかというと、胸元のたゆんが弾けてあふれかえっていること。


 恥ずかしがり屋のカルタがここまでするとは……覚悟を決めたんだな。

 やるじゃないか。


「お前の覚悟、しかと受け取った――」

「む、谷間の部分が破けちゃった!? ど、ど、ど、どうしよう!?」


 いや違う。めちゃくちゃ焦っていた。

 確かに見えすぎだな。開幕からハプニングごちそうとは……。


「すげえ、あのカルタがここまで身体を張るとは」

「カルタ先輩、マジで可愛いなあ」

「こりゃ揉み放題、揉まれ放題の噂はガチだな。どっちが勝つか気になるぜ」


 とはいえカルタのおかげでスタートダッシュを切れている。

 流石うちの大砲だ。


 っと、


「リリス」

「――はっ!」


 その場でつぶやくと、くノ一の姿をしたリリスがどこからともなく姿を現した。

 今回のコスプレのテーマは『解釈一致』だ。全員が、うんうんと頷くようにしている。

 それを見た学生たちが、おおっと声を上げる。


 ちなみにミニスカート、黒タイツ。口元には黒いマスクを装着。

 全体的に露出は控えめだが、それがまたそそ――いや何でもない。


「カルタを縫合してやってくれ」

「合点承知の助!」


 するとリリスは胸に忍び込ませていた裁縫道具でチャチャチャっとカルタの服を縫い付けた。

 とてつもない神業に周りが声を上げる。ちょっとだけ残念そうな声色も交じっていたが。


 カルタはリリスに礼を言って、リリスはまた闇に消えていった。


 生徒たちには列にしっかり並んでもらい、俺は実行委員として中に入る。


「おかえり」


 出迎えてくれたのは、耳がピンと立っているエルフ、セシルだ。

 ショートパンツにニーソ。普段は絶対しないであろう恰好な上に絶対領域まで装備している。

 あえて敬語スタイルではなく馴れ馴れしさを出すことで絶妙な距離感を演出。完璧だ。


「似合ってるじゃないかセシル」

「そうかしら。彼女たちのほうが可愛いわ」


 視線を向けた先、シャリーは堕天使のコスプレで黒い翼を携えていた。

 同じくニーソ。あいつめ、意外に似合うな。


 その横には氷姫の恰好をしたシンティアがいる。

 実際に冷気を纏っていてひんやりしている上に、白く透けた衣装が特徴的だ。


 隣にはバニーガールで網タイツのトゥーラ、太もものむちむちが凄いな。

 そしてなぜかメイド服のオリン。


 これは……見なかったことにしよう。


「ヴァイくんの執事服……かっこいい、かっこいい、かっこいい、かっこいい」


 すると後ろから声がした。振り向かずともわかる。ヤンデレはぐれメタル、ルナだ。

 彼女はブラックロリータファッションだった。スカートがふんわり、中にパニエが入っている。


 みんなのおかげか客入りが途絶えることはない。

 これはさすがに勝っただろう。

 しかし油断はできない。


「ねえデューク、ここにあった飲み物知らない?」

「おおアレン! さっき喉乾いたから飲んだぜ!」


 裏ではアレンとササミがドリンクオーダーを頑張っていた。

 その後、ササミの発言を聞いた堕天使シャリーが、堕天使張り手をするところを見届け、俺は上級生の棟に視察へ。


 前年のメイドカフェの経験から口を出す必要もなさそうだ。流石ノブレスの学生、適応能力が高い。


 勝利を確信とまでは言えないものの、確かな手ごたえを感じる。


 しかし上級生の棟に入った途端、並々ならぬ圧を感じ取った。

 人の気配が、多すぎる……。


 おそるおそる進んでいくと凄まじい人だかりができていた。

 なんと三階から一階まで列になっているのだ。


 そこには、ベルクとメリルの姿もあった。

 ちなみにゴブリンと聖女のコスプレをしている。抜け出してきたな。


「ベルク」

「ん、ヴァイス先輩じゃないっすか! 執事服、めちゃくちゃ似合ってますね! オレのゴブリンはどうすか?」

「どうでもいい。それよりなんだ、この列は何だ。何が起きてる?」


 事前に確認できていたのはメイド服だった。つまり、メイドカフェだろう。

 確かに上級生たちの接客は受けてみたい。でも、ここまで並ぶのか?


「メイドカフェですよ。エヴァ先輩とプリシラ先輩、シエラ先輩、エレノア先輩が接客してくれるんです。それも、隣に座ってくれるみたいで。後、ニール先輩ってすごく人気なんですよね」


 メリルがサラリと質問に答えてくれた。


 と、隣同士だと……そんなの風営法違反じゃないか? ダメだろう? いや、ここはノブレスだ。

 クッ……俺としたことが元の世界ベースで物事を考えていた。それによく考えるとニールは後輩から人気だった。

 以前の悪党顔はどこへやら、今はすっかり善人モードで人気はストップ高。


 更に奴隷撤廃に勤しんでいる大金持ち大貴族。


「ヴァイス先輩も並びましょう!」


 ベルクの甘い囁き。あの有名で、なおかつ強者たちが隣で接客をしてくれる。


 うらやま……忘れるな。俺はヴァイスファンセントだ。


 そんな甘えは許されない。


「悪いが俺にはやることがある」


 頭を振り、勝利の二文字を刻む。


 急ぎで秘密兵器ミルク先生を投入するしかない。

 

 既にメイド服を着てもらう言質は取れている。


 職員室へ向かおうと早歩きで廊下を歩いていたら、俺の目の前にココが通る。

 それもなんと、やさぐれメイドミニスカート風、これは……スーパーの裏でヤニを吸ってる風のフェチのやつ。


「少年、なんだ急いで」

「な……なんでそんな服を……」

「ん? エヴァがこれを着て教室で立ってたら秘密魔法を教えてくれるらしくてな」


 さすがエヴァ、ココが魔法好きなのをわかって……。

 ……上級生たち、本気で勝つつもりだな。手加減なしということか。


「……ミルク先生がどこにいるのか知りませんか」

「ああ、中庭にいたよ」


 急がないと、急がないと……。


 だがその途中、メイド服を着たムキムキのダリウスが上級生の棟に上がっていくところを見て俺の心はポッキリと折れた。

 

 ――――――――――――――

 あとがき。

 お久しぶりでございます。読者の皆様、お元気でしたでしょうか?


 不定期更新で申し訳ございません。

 現在は書籍の『三巻鋭意制作中』でございます。来年にはお届けできるかと思いますので、今しばらくお待ちくださいませ。


 近況としましてはカドカワさんの謝恩会に参加したりと日常も満足しております。

 できるだけ更新しなきゃと思いつつ、専業作家になりたい思いで新作を書きました。


 カクヨムコン10に応募しておりますので、ぜひこちらもお読みいただけると幸いです。


 インフルが流行っているのでお気をつけください。(先日、かかってしまいました)



 タイトル。ぜひとも、フォロー&☆☆☆をお願いします! 


 『たった一人で前線を止めていた俺に「役立たずが」だって? もういい。俺は好き勝手に生きて可愛い嫁を探す旅に出させてもらう。~今度は敵国で英雄となって祖国に牙を剥きます~』


 https://kakuyomu.jp/works/16818093090526914133


『遅咲きの天才おじさん冒険者、最弱の『生活魔法』で世界最高の大賢者と呼ばれるまで』


 https://kakuyomu.jp/works/16818093090529945480



 

 

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