336 バトル・ユニバース ➄( セシルside )

 そのとき、短いけれど少し早口で、ファンセントくんから返事がきた。


『――セシル、よくやった』


 ああ、その一言が嬉しい。


 ……私はやっぱり彼が好きだ。


 彼と話していると心が苦しくなる。


 傍にいるだけでドキドキする。


 触れたい、触れられたい。


 この気持ちはもう我慢できない。


 試合が終わったら、ちゃんと伝えよう。


 ……シンティアさんへの言葉も、考えなきゃな。


 でも、クロエ先生つよかった。


 視線を下げると、私の身体から、魔力が籠れ出ている。


 まさか、最後の最後、魔力がないにもかかわらず一撃を与えられるなんて。


 これ以上動くと落ちてしまう。私が残っていれば、みんなの会話の中継ができる。

 だから、誰かを助けることはできない。でも、仕事はした。


 後は任せたよ、ファンセントくん。



 ――バトル・ユニバース不平等な真っ向勝負

 地面に術式を描き、セシルが敵と認識した相手が、先制攻撃を仕掛けてきた場合のみ発動する(セシルから攻撃した場合は、能力が発動できず、次の猶予までに24時間かかる)

 対象は、魔力に応じた攻撃範囲と防御力が自動で適応された上で、王となる。

 対象がバトル・ユニバースを知らなければ、セシルと同等の知識が与えられるが、知識が足りない場合も知識補助がかかる。


 持ち時間は一手につき300秒が与えられ、着手できなかった場合は、時間切れで負けとなる。

 対象は何度もセシルに挑むことができるが、セシルは敗北と同時に絶命する。

 対象が完全に敗北を認めると、敗北数×24時間魔力が使えなくなり試合が終了。 同時にセシルに褒美が与えられる。


 褒美は毎回同じものではなく、その場に最適化した褒美が与えられる。

 

 

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