007 心と身体の変化
俺がヴァイスになってから一年が過ぎた。
実践テストをしたのが、遥か前のように思える。
相変わらず訓練の日々だが、ステータスは初期からは考えられない数値に変化していた。
名前:ヴァイス・ファンセント
種族:人間、男
年齢:15歳
職業:貴族訓練生
レベル:4⇒15
体力:300⇒3000
魔力:1200⇒6000
固有スキル:縛りプレイLv2、ヒールライトLv2、
気配察知Lv.3、隠密Lv.3、魔力操作Lv4、勇気Lv3、
称号:ボンレスハムの達人、執事たらし、頑張り屋さん
もう何というか、途中何があったんだ? という感じだ。
確か学園の入学時のレベルの平均が3、いっても5だったような気がする。
うーん、大丈夫かな? やり過ぎてないだろうか……。
いや、大は小を兼ねるともいうし気にすることはないか。
「ヴァイス様、先日の寄付金、全て滞りなく孤児院に送りました」
「ありがとうゼビス、それと事業のほうだが、次の集会に顔を出したい。頼めるか?」
「もちろんでございます」
大きく変わったことは二つ、一つは、執事のゼビスが完全に心を開いてくれたことだ。
リリスと違ってまだ疑いの目を向けられている時もあったが、今は信頼をしてくれている、気がする。
最終的にファンセント家を裏切るような事もなくなっているとありがたいが、まだまだわからない。
そして二つ目――。
「魔法の訓練は順調でしょうか?」
「ああ、ゼビスの口添えもあって取り組んでるよ。といっても、「火」「水」「風」「土」の四元素をまんべんなくって鬼だよね」
「それはヴァイス様の才能が規格外だからでございます。本来は一つ、ミルク・アビタス先生でさえ二つです」
ついに魔法訓練が始まったのだ。
驚いたことに、俺は四つ全ての元素を使えるらしく、ミルク先生は大口を開けて笑っていた。
だが期待していた魔法訓練は、想像以上に疲れることを知った。
とにかく精神的というか、気力を消費するのだ。
おそらくMPというものだろうが、風邪を引いた時の気だるい感じになる。
やりすぎると魔力酔いというものもあって、長時間続けていると頭痛は酷いし吐き気もある。
それと内緒にしているが、ひょんなことから光と闇の属性も使えることに気づいてしまった。
一度ミルク先生に伝えようと思ったが、どうせならびっくりさせたい。
夜中にこっそり練習しているのだが、リリスが物陰から見ている時がある。
応援してくれてるのはありがたいが、四時間も同じ場所に立って見られたりすると流石に申し訳ない。
部屋でゆっくり休んでくれればいいんだが……。
◇
リリス・スカーレットside。
ヴァイス様が変わられてから早いもので一年以上が経過した。
しかし何というか、私の目から見ても、とてつもない才能だ。
本人は内緒にしているんだろうけれど、四大属性にくわえて光と闇魔法の修練もしている。
ミルク先生もとうに気付いているだろう。
学園の入学の為に頑張らないと、とヴァイス様は言っているけれど、首席どころか歴史まで変えちゃうんじゃないかな?
夜中にもひたむきに基礎訓練の繰り返し。
たゆまぬ努力を隠れて見るのは好きだけど、多分バレている。だって、チラチラこっちを見ているんだもの。
そういえばテストの際、酒場でうるさい輩がいたからミルク先生とすりおろしてしまった。
もう人を傷つけるのは止そうと思っていたけれど、流石に女の人に暴力を振るっているところなんてみたら許せない。
結構有名な悪い連中だったらしく、咄嗟にミルク先生がヴァイス様の評判を上げる為に手回していた。
怪我の功名だけれど、少しずつヴァイス様の悪名が減っている。
努力家でひたむきなヴァイス様のことを見ていると、心が締め付けられるような気分になる。
これが、「好き」という感情なのだろうか?
来年はもう学園の入学だ。
そういえば入学時にお付きが付けられるって話を聞いたことがある。
……いいな、私も一緒に行きたいな。
頼んでみようかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます