5話

〜アリサ視点〜

魔女から魔法を教えてもらってから、約3年がたっていた。今日も魔女がバイトに行っている時に書庫に侵入してみる。まあ許可を貰ってるから侵入じゃないけどね。


「あの魔女に勝つためにももっと強い魔法を身につけないと…」


書庫に入るのは、1年前から許されてはいたのだが、今日初めて書庫に入っていた。それまでは、ずーと魔女が本を持ってきてくれていたが最近はそれがなくなっていた。

書庫には色々な魔法の本や雑学の本が沢山あった。

私はどの本から読もうか考えながら歩いていると、本と本の間にボタンみたいなのがあった。ボタンを押すと本棚が横に開き金庫が現れる。


「なんだろ。この金庫古いものかな?」


金庫を魔法で無理やり開けるとそこには、燃えてボロボロになっている新聞と本があった。完全に燃えきってないのか、なんとか読めるようになっていた。

本のタイトルには鬼化についてと書かれていて新聞には、魔女教会の裏切り者としてリリィと言う名前が書いてあった。


「あの魔女、リリィって名前なんだ…」


何となく直感でそう思ってしまった。

その新聞を読んでみると鬼化の人間を教会に連れて、行かずに殺害した事で魔女教会を追放したと書かれてあった。そして鬼化した村には私の住んでいた村の名前と親の名前が書いてあった。


「鬼化ってなんなんだろ?」


私は今度は鬼化に着いての本に手を出す。その本には色々な事が書いてあった。鬼化とは、感染した人はまず、高熱が出て咳が出る。いわゆる風邪と同じ症状が出るらしい。その後に少しづつ身体の体温が下がっていき元気になっていくらしい。


「お母さんたちと同じ症状…でもなんで鬼化なんて…」


鬼化している人間は、風邪のような症状からいきなり元気になっていき、体に角や牙が生えてきて、次第に理性を失い人を襲うと書いてあった。

その文にはまだ続きがあった。鬼化した生き物は、兵器としての利用価値がある。

その文を見て私は理解してしまった。多分あの魔女さんいやリリィさんは鬼化した父や母をこれ以上苦しめないために殺したんだ。

そして、私を教えてくれなかったのは、あれなんだろう…私が子供だったからだ。そして、私がずっと復讐のためだと冷静じゃなかったから教えてくれなかったんだ。


「私はなんでもっと早く気づかなかったんだろ…」


それから、私は魔法の勉強をした。鬼化について気になることは沢山あったけど今は魔法の勉強をしなきゃいけないと思ったからだ。

本能がこのままだと全てを失うと思ってしまっからだ。

リリィさんはずっと前からバイトを始めている。そして、私が魔法を教えてくれる時間以外はずーと家にはいない。何をしているのか分からない、だからあのリリィさんの事を私は知らないといけないのだ。

そう思ってから、私はリリィさんを観察した。

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