ダルメキア帝国2
魔術協会本部:宿舎
何時頃だろう?
目を開けように包帯に阻まれて何も見る事ができない。
寝て起きたからには明日になってほしい、少しでも早くテミンとみんなが無事なのか早く確かめたい。
そんな思いで頭がいっぱいだった。
少し動いてみよう、傷がどれくらい回復したのか確認しておきたい。
鎖のような音が聞こえ包帯越しに腕輪のような何かに引っ張られた。
腕も足も動かすたびに鎖がこすれる音が聞こえる。
動かない。
「あっ起きちゃったか」
女性の声が聞こえた、鎖を付けたと思われる人物に状況を聞こうと口を開けようとしたが口元になにかが巻きつかれて喋ることすら出来なかった。
「先輩!起きちゃってます」
「準備は整っている、後は待つだけだ」
男性の声も聞こえる。
状況が分からない、嫌な予感がする。
「先輩、薬で眠らせた方が後先の為にもいいと思うんですけど」
「勝手に薬を投与するのは禁止されている、黙って待て」
「あははは、心が痛みますよ」
口元に巻き付いてるものを引きはがそうと腕につけられた鎖輪を引きちぎろうと何度も引っ張る。
「暴れてますね」
「放っておけ、いずれ楽になる」
宿舎
俺たちは突如メール様の命令によって頑丈な石造建築の宿舎で実験体の作業準備をさせられた。
まったく、今度は何をなさるつもりなのだ。
ドアが従者たちによって開かれ重い木箱や道具を運ぶ者たちが入ってきた。
その後ろにはメール様の姿も見えた。
「じゃあ始めるわよ」
「メール様、いったい何をなさるのですか?」
「こいつを改造した後に商品として貴族に売りつけるの」
「商品ですか、では帰還する他の者も同じようにするのですね」
「こいつ以外はもう帰ってこないわ」
鎖を引っ張る音が止んだ。
「あれ?止まりましたね」
木槌を左右に振りながら後輩は言う。
「骨を壊す必要はないからそれはしまいなさい」
「はーい」
「メール様さっき聞こえたんですけど帰ってこないんですか?」
「そうよ、造った複製体が1000体もいたのに!」
「精鋭の騎士団とほぼ同じ姿に作り上げたのに!!」
頑丈な石畳をヒールで削りながら怒りを示した。
それと同時にまた商品が動き出した。
「ふん!!」
怒りの矛先は石畳から商品に変わった。
「わぁぁあ!?」
「静かに」
「だって先輩これ、腕の骨が飛び出てますよ!」
「メール様に考えがあってのことだ」
商品は動かなくなった。
「・・・えーと、ひとまず腕を取り外す!」
作業は一晩で完了した。
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