魔法探検俱楽部はオタクぞろい5

「じゃあ、お疲れさまでしたー!また明日!」

「はい、お疲れさまでした」

各々が帰路に就く中、僕はキリウスがあの画集をじっと見つめていることに気づいた。

血狂いのオリヴィエが殺戮に勤しむ描写や、シルヴィアに殺される様子、母親の首を落とす描写などかなり過激

で刺激の強い画集だから、あまり他の子は見ないようにしていたんだけど。

「あれ、それ見る?貸そうか?」

「いや、いい。それより、一つ頼みごとをしてもいいだろうか?」

「ん?どうぞ」

キリウスは僕の目をまっすぐに見据えて言う。

「この絵を描いた画家は存命か?」

「うーん、その筈だけど」

「なら、会ってみたい」

「あー……」

それは……、いいね。

記録や事件の情報で描いたにしては妙にリアルだし、取材もありかな?

なにより。

鑑定魔法で感じた作者の意志に興味ある。

「うん。分かった」

僕はキリウスの真剣な眼差しに気圧されながら答える。

「でも、どうして?」

「……気になっただけだ」

その表情は見慣れた不愛想なものだけど、どこか悲しげだ。

「どうしたんだい?」

「ん?いや……」

キリウスは僕の問いに曖昧に返すと、口を開く。

「今もハンク家の呪いは続いているんだろうか」

「さあ、どうかしら」

ユイはキリウスの言葉に首を傾げる。

「シルヴィア様の代で潰えてしまった以上、闇に埋もれてしまっているわね」

「だよねぇ」

「ただ」

ユイは頬に手を当てて続ける。

「シルヴィア様が最期を迎えたのは……ご遺体が見つかったのはベリオドールなのは確かよね」

「……」

「……気になるなら、行ってみるかい?」

クラブ活動が増えるのはいいことだ。

僕はそう提案するも、キリウスは首を横に振る。

「必要ない」

「そう?じゃあ、とりあえず、その画家のアトリエを訪ねようか」

「そうね、この画家さんにアポイントを取ってみましょう」

「ありがとう。感謝する」

「気にしないで」

キリウスは小さく頭を下げる。

「じゃあ、また明日」

キリウスは踵を返して廊下へ続く扉へ向かう。

「あ、ちょっと待ってくれよー!」

僕は慌ててキリウスを追いかけるが、逃げ足が速いのか廊下を曲がってすぐに見失ってしまう。

「……まあ、徐々にうちのクラブに慣れてくれればいいや」

僕は諦めて、キリウスとは反対方向の階段へと向かう。

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