第3話 僕の体はお菓子で出来ている。

この作品を読んでくれでありがとう。

僕の想いが詰まったこの作品について、後書きだけど追記というか、少し解説させてほしい。


この主人公、ヒロキは特殊な体質をしている少年だ。

傷口からお菓子が出てくるという体を持っている。


心優しいヒロキは自分から出てくるお菓子を、食事に困った子供たちに分け与えるのだが……。

与えられるだけの人間はそれが当たり前になってしまうと与えてもらう方の痛みがわからなくなるものだ。

搾取されるだけのヒロキに光があるのか。

この後書きにたどり着いた人なら、ヒロキがどうなったかを知っているのだろう。

結末については賛否両論あると思うが、ここに隠されている僕の思いもわかって欲しい。


搾取、と書くと聞こえが悪いだろうが、あなたは誰かに搾取されたことがあるだろうか。

労働の対価以上に利益を我が物にする行為だが、ここは労働ではなく資産(持ち物)も追加して考えて欲しい。

それを踏えて、この話のきっかけとなった僕の話をしようと思う。


とあるスーパーでアルフォートというお菓子のチョコバナナ味が売っていた。

実は僕はアルフォートに目がないのだ。

個人的にはリッチミルクが一番好きなのだが、チョコバナナという限定の味に心が躍った。

しかも二つかうと少し安い。

僕は迷わず購入した。


アルフォートはお徳用一袋136gで大体13枚入っている。

13枚なんて二人で半分こできない枚数なのだが、それを思って2袋買って帰った。


家に帰ると僕の妻が早速僕のアルフォートに食いついた。

2袋あるから1つ頂戴と。


ここまで想定内。

快く良いよと答えると、妻は嬉しそうに僕のアルフォートを胸に抱え、リビングへと消えてった。

ニッコニコの俺の妻、可愛い。


そう思っていると長男がやってきて、『お母さんだけずるい』と言ってきた。

『お母さんに半分もらったら?』というと、息子は頬を膨らませてこういった。


『お父さんにもらっておいでと言われた』と。


ここで僕は『ん?妻は一袋持っていったよな?』と疑問が生まれたが、可愛い息子のために半分持っていっていいよと言った。

半分に割れないという息子に、一枚多く持っていって良いよと。

ここは父親として余裕ぶっていってみた。

息子は嬉しそうにアルフォートを両手に乗せて僕の書斎から出ていった。


笑顔の息子は妻に似て可愛い。

リビングから『お母さんもらったよ!』『あら、よかったわね!』という会話にほっこりとしながらpcに向き直った。


またしばらくすると今度は下の娘がやってくる。

このとき嫌な予感がした。


扉がノックもなしに開くと、娘はもう涙目だった。

ここからもう言葉が予想がつく。


『お兄ちゃんだけずるい!』


はい知ってたー!!


アルフォートの残量が気になったが、半分持っていって良いよ、と息子の時と同じ答えを出す。

だが娘の方が一枚上手だった。


『なんで私だけ少ないの!お兄ちゃんの方が多いのずるい!』


『……』


娘も可愛い。

とても可愛いが、僕はアルフォートも大好きだった。


だが僕は父親。

可愛い我が子が欲している自分の好物を素直に袋こと差し出した。


『全部持っていっていいよ』と。


震える手で袋を娘に差し出す僕。

だがうちの娘はあざとく聡かった。


『一枚少ない!』


『え』


『ここに13枚と書いてある。残っているのは6枚で兄は7枚食べたはずだ』と。


娘はまだ年中で、こんな瞬時に算数が出来ることに驚きうちの娘天才か⁉︎と動きが止まっていたら、娘の後ろから妻が顔を出した。


『もーしょうがないな、お母さんのを一個分けてあげるからそれで良いでしょ!』


妻の言葉に涙目の娘の表情がパァッと明るく輝いた。

そして妻に飛びつき、にっこりと微笑んだ。


『お母さんありがとう!大好き!』


二人で抱き合いながら部屋からいなくなった。


いや、何美味しいとこ全部持っていっとんねん。

そもそもそれも僕が買ってきとんじゃいと。


僕はそのまま無言で先程のスーパーへと走った。

食べられなかったアルフォート。

僕のアルフォート。


スーパーにつくともう僕のアルフォートは売り切れていた。

二つで安かったし、限定の味だったので仕方ないのだが。


と、いうことで生まれたこのお話どうだったでしょうか?

お楽しみいただけたら幸いです。


また次回の作品で会えることを願って……。



***


食べ物の恨みは恐ろしいですよね。

きっと主人公のヒロキは搾取された全てに復讐したのではないかと思います。

世界、きっと滅亡しちゃってると思う。


アルフォートはうちの家族も好きなので取り合いです。

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