これまでと、これから。
これまで、沢山のことを諦めてきた。
幼稚園の頃、絵が上手くかけなくて諦めた。
小学生の頃、作文が上手く書けなくて諦めた。体育で上手く技がやれなかったから諦めた。友達が出来なくて諦めた。漢字が書けなくて諦めた。可愛くなろうとするのを諦めた。
本当に、色々と。
中学3年生になった今。
諦めかけているものがある。諦めかけているもの、それはテニス。正直諦めたくなんかない。相手に後2ポイント取られれば終わる。今まで努力してきたものが、全て崩される。
全国大会に行くための地方大会での優勝。正直自信は合った。だって周りの人達から 上手! と褒められてきたから。でも今は違う、自信なんてない、相手が遥かに強い。これまで粘って点を取ってはきたものの、相手が後2点取ればこの試合は終わり、私は負ける。
正直嫌だ、だってテニスで全国に出ることが夢だったんだもの、こんなチャンス、ないのに。
もう諦めようと、力を抜いた時だった、
その瞬間、会場に大きな声が響いた。
そりゃもちろん他の人たちも声を出しているから声の発生源近くくらいの人しか気にとめなかった。でも、私は無視する訳にはいかなかった。
だって、だって、…その言葉の内容が、私だけに当てられたものだったんだから。
あいつらのせいで私は諦めることが出来なくなってしまったじゃないか、そんなの、頑張るしかないじゃないか。
「 北崎!!絶対に諦めるな!全国行こうよ! 」
なんて言葉をかけられてしまったら、最後まで全力を出すしかないじゃないか。
声を出してくれたのは、同じチームのみんなだ。いつも一緒に居てくれた、いつも一緒に笑ってくれた、いつも、いつも!
一緒に頑張ってくれた。
だから、私はみんなの言葉の力を、みんなの心を借りて、最後まで頑張ることにする。
なにが諦めるだ、みんなに失礼じゃないか。
審判の声を聞いて、全力でボールを打つ。
スパーン!!という小さいけれど、大きな音を出したラケットは重く感じる。ただそれさえも嬉しい、楽しい。弾き飛ばされたボールは柔らかいはずなのに、硬そうに見えるほど強く、早く飛んで行った。地面に付けば勢いよく跳ね返り、相手がラケットを振った。
さすがに取られるか、と思い動こうとすればボールにラケットは当たらなかった。
「 ナイスサーブ!! 」
というみんなの声、とにかく嬉しかった。
その後も諦めずにラケットを振り続けた。
結果相手には勝ち、見事2位。1位まで惜しかったけれど全国には行ける。
その事実がどうも嬉しくって、終わりの挨拶をするための集合が終わった後、みんなと泣きながら喜んだ、抱きしめ合った。
1つ心に強くあったのは、
諦めないで良かった
という気持ち。
諦めない事の大変さ、諦めなかった後の喜びを知ってしまったんだ、
これまで、沢山のことを諦めてきた私、北崎は、きっと、もう諦める事はないでしょう。
きっと たけ @kokomoko
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