第51話 食卓大戦争


「それでは、手をわせてください!」

【【【【あわせました!!】】】】

「いただきます!」

【【【【いただきます!!】】】】


その合図あいずとともに、ワームたちがうごす。


【ウインナーいただきみゅ!】

【みゅーっ!にいちゃん、ナノがおれのったみゅー!!】

【ちょっと、さないでみゅ!】

【みゅわぁっ!?】

【おにいちゃーん!!】

「あー、はいはいはいはいはい」


ワームたちの食事しょくじはいつも戦争せんそうだ。

相手あいてのおかずを横取よこどりするのはあたりまえ、自分じぶんのパンを死守ししゅするのもあたりまえである。

ほぼほぼなんでもありなルールの中、かなら完食かんしょくする。


【ごちそーさまみゅー!】

【ごちそうさまでしたみゅー!!】


終わりはそれぞれ各自かくじでやる。

終わったらその場から即離脱そくりだつしなければいけない。

食事戦い火の粉んでくるから。

さらはプラスチックもどきでつくられているのでれない。

それをいいことにワームたちはぶんぶんにまわす。

無害化むがいかしたとはいえ、魔物ワーム魔物ワーム

回復力かいふくりょくがすごく、フォークやナイフがさっても自分でっこいて回復かいふくする。


「はい、みんな食べ終わったー?」

【【【【【みゅー!!】】】】】


今日も今日とて全員完食ぜんいんかんしょく

ここまでくると幼稚園ようちえん先生せんせい気分きぶんである。


「さて、ムム」

【んみゅ?】


食べ終わって少しウトウトしているムムには悪いが、くわしく状況じょうきょうかないといけない。


枠組わくぐみはたしか、3日で終わらせる予定よていだったよな?」

【そうみゅね】

「じゃあ、2日 短縮たんしゅくしたってことであってるか?」

【いや、3日みゅ。

 4日目は5日目の下準備したじゅんびをするはずだったみゅが、その下準備したじゅんびも終わってるみゅ】

「え”っ?」


俺の口から言葉ことばにならない濁音だくおんこぼれでた。


【明日からすぐにでも家のはん床張ゆかばり、庭のはん小川おがわけるみゅ】

「すっ…、すごい、な…」

本来ほんらいなら3ヶ月 予定よていだったみゅが、これなら一週間くらいで余裕よゆうみゅね】


oh………

予想よそう以上いじょうだった。

早くても1ヶ月だったのに、まさか一週間にまでちぢまるなんて……。


『やぁ、セイ』

「ソル」


ひょいとかたってきたソル。


『いやぁ、ワームたちの食事しょくじはいつ見ても壮観そうかんだね』

「そりゃ、あんだけの大人数おおにんずうだからな」

『まぁ、その分のごはんを作っちゃうセイもセイなんだけどさ』

「それはどういう意味いみだ〜?」


ワームたちは今、大きめな洞窟どうくつなかでおやすみちゅうだ。

ワームたちの睡眠すいみんはそれぞれに寝転ねころべるポイントを見つけ、そこにぬのをかけるだけ。

さむそうだしもうわけないのでお布団ふとん絶賛ぜっさん生産中せいさんちゅう


『そういえばね、ボク、ワームたちを《鑑定かんてい》してみたんだよね』

「え?」


ソルってば《鑑定かんてい使つかえたの?とこうとして、そういやソルってもと勇者ゆうしゃだったと思い出す。


『そしたらね、巨大蚯蚓ワームから蚯蚓人ペルソナワームになってたよ』


え?ペルソナって、たしか《人》って意味いみだったよな?

無害化むがいかするとやっぱり種族しゅぞくわるのか。


『見たまんまの年齢ねんれいじゃないってかっててもさぁ、4さいくらいの子供こどもにやらせるのってしのびないよねぇ』

「わかる。しかもとっても純粋じゅんすいな目でこっちを見てくるんだよ。」

『そうそう。それでね、新しく無害化むがいかした魔物まものれてこない?』

「!!」


おどろいた、ソルが2時間前の俺と同じことを考えるなんて…

見開みひらいた俺の目と視線しせんを合わせ、ソルは提案ていあんした。


『それで、次に《無害化むがいか》するのは、角兎ホーンラビットがいいと思うんだ』

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