第37話 天界のアホども(短め)


遠い天界てんかいにて、今日も精霊たちが“彼”を見守っている。


(水)「きゃああああああああ!!

    セイさんが、セイさんがあのクソ邪神の存在を知ってしまいましたぁー!!」

(雷)「はあああああ!?!?細心の注意を払ってたんだろう!?」

(水)「もちろんですぅ!!あんのクソ邪神めぇ!許すまじ、です!」


ギャンギャンとさわがしいふたりが言うと、わらわらと他の精霊たちも集まってくる。


(草)「え?知られたって…、あのクソ邪神を?」

(水)「そうですぅ!まさか、邪神が信者しんじゃ送り込んでくるなんてぇ…」

(氷)「殺しましょう。我らが全力を持って」

(闇)「おぉ、それはいい案だな、氷の。

    我らが神子に手を出そうなど、100年早いわ!」

(光)「えぇ。そうですわね。

    今すぐもの鉄槌てっついくださねば。」


“邪神”の前にかならず“クソ”が付いていることから相当そうとううらみと怨念おんねんを感じる。

それぞれに恐ろしいことを言いながらくつくつと笑う。

聖なる精霊とは思えない動作だ。

と、そこに温厚おんこうな土の精霊がやってきた。


(土)「まぁまぁ、みんな待ってよ」


そして、ニッコリとそれはそれは素晴らしい笑顔でこう言った。


(土)「殺すだけじゃあダメだよ。地獄じごくに落としてたましい消滅しょうめつさせないと」


たしなめるかと思いきや、これまた恐ろしいことを言う。

そしてそれに他の精霊たちは。


「「「「「それは名案だ!」」」」」


そう言った。

精霊たちはセイのことになるとタガが外れるらしい。

みんなニコニコと笑って、薄ら寒い空間だった────。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る