第36話 お久しぶりの第一フィールドと因縁のアイツ

「よっ…、と」


フワッと降り立ったのはいつかの噴水ふんすいの前。

地面に足がついた瞬間に、《隠密おんみつ》が進化した《隠蔽いんぺい》を俺(影の中にいる天花たち含め)に使う。

この2つの違いは、『仲間パーティメンバー従魔じゅうまふくめた『自分となんらかの関係がある生き物』にかけることができる』と、『物にもかけれる』ことである。

まぁ、俺にしかかけないんだから、別に隠密隠密でもいいんだが…、なんかね。


「ん?」

「どうした?」

「あ、いや、なんか…、今そこに人いなかった?」

「はぁ?いなかっただろ」

「そ、そうだよね…」


おっと、見られていたらしい。

危ない危ない…

歩いていると、3ヶ月前となんらかわらない街並みに安心する。

3ヶ月間、なかなかに内容のい日々だった。

スキあらばリン玲奈レナから『訓練』としょうした奇襲きしゅうで暗器(クナイとかシュリケンもどきとか)が飛んでくる。

たまったもんじゃない。

なかでも井戸で水をんでたときに、後ろから麻痺薬まひやくったクナイがさったときはやばかった。

びっくりした上に麻痺薬まひやくで動かなくなった体が、にぎっていたひもに引っ張られて井戸の底に落っこちたのだ。

さすがの朱乃あけのさんも見かねて凛と玲奈をしかってくれたが、反省の見込みなし、舌の根もかわかぬうちにまた仕掛しかけてきた。

まったく。おかげさまでている間も気が抜けなかった。

(この世界はリアルでの12時間が1日に相当する)

そして今。やっとこさ気が抜けて、とてもいい気分である。


「♪♩♩♫♪♩♬♪♩♪♪♩♫」


その気分のままに歌っていると、何やら周りの人々プレイヤーがギョッとして俺の方を見て、首をひねってはなれていく。

あ、まずった。

俺ってば、いま姿隠してるんだから声だけしてるんだよな。


「おい、どけ、どけ!!」

「うわぁっ!」


人混みから大男おおおとこが出てくる。

げぇ。

げげえぇ!!!

出た、出たよ、炎帝筋肉ダルマが!!!


「なんであんな身長たけぇんだよありえねぇだろうがクソが。」


感情が乗りすぎて魔力が漏れ出す。

もはや一種いっしゅ呪詛じゅそと化したことをつぶやきつつ、無言むごんで気配を殺す。


「おい。ここらへんで狐野郎きつねやろうがいるって掲示板のヤツらが騒いでるんだが…。いるんだろ?出てこいよ。」


狐野郎?えっ?お、俺のことッ?

その瞬間しゅんかん


ゾワリ


「ッ!《打消レジスト》!」


この感覚。この感覚!

覚えがある。

鑑定かんてい系統けいとうのスキルをかけられた時の…。

リン&レナは鑑定の格が違う。

相手の情報の先…、それこそ

おかげさまでこのスキル…、打消レジストはいちばん最初に覚えた。


「お返しだよ、《鑑定》!」


小声で鑑定仕返し…、思わず吹き出した。



〜〜*-*-*〜〜〜

名前:アルフレッド・ヘルフレイム

性別:男

種族:人間ヒューマン

Revel 52

魔力:4300

体力:5000

俊敏:50

筋力:1000

頑丈:1000

運気:10

加護:《邪神じゃしん加護かご

技能:《極炎獄ヘルフレイム》《邪神之眼ジャシンノマナコ

称号:《罪ある者》《邪神に祈りし者》

倉庫:《14万チコル》

〜〜*-*-*〜〜〜


あっ、アルフレッド・ヘルフレイム!?

ちょっ、待って待って。

コレ…、本気マジのやつ?

こんな厨二病ちゅうにびょうフル全開な名前初めて見た。

って、こんなことは置いといて!

邪神じゃしん?邪神ってなんだ?

あれか?光の神精霊たちが話してたようなやつか?

そしてこのスキル…、さらに深くだ、《鑑定》。


〜〜*-*-*〜〜〜

スキル名:邪神之眼ジャシンノマナコ

レベル:5

属性:任意発動系スキル

効果:相手がどこにいるのかを知ることができる

範囲:半径10メートル

※レベルに応じて範囲拡大

〜〜*-*-*〜〜〜


やっぱり鑑定系統かんていけいとうか…。

この場合は“相手”を俺…、つまりセイにしてるってことか。

ま、打消レジストで打ち消したんだけど。

俺は姿を消したまま、炎帝…、アルフレッドさん(笑)に言う。


「ばーか、そう言われて素直すなおに出てくるやつがいるかよ」

「ッ、なんだと!?出てこい、狐野郎!!」


ふん、と鼻で笑い、さっさとその場を立ち去った。

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