第35話 特訓終了


前回のあらすじ:着物に着替えた。

        銀色の腕輪と黒色の足輪をつけられた。

        重いし魔力吸われるしなんなの!?


朱乃あけのさんの星降り島での修行が始まっておよそ3ヶ月(もちろんゲーム内なので現実リアルでは1ヶ月半)。

これを機に現実リアルでも運動&筋トレを始め、まぁまぁそれなりの細マッチョになった。

現実でも、ゲームでも。

ちょっと愚痴ぐちるけど、朱乃さん鬼。

鬼としか言いようがないほど鬼。

毎朝4時起き、起きたら着替えて朝ごはんを作って(なぜ俺が作らねばならない!!いやまぁリアルでも俺が作ってるんだけどねっ!?)

それから朱乃さんたちがご飯食べてる間俺はジョギング。

この星降り島のまわり3周(ジョギングの範囲を超えている)

そのあとやっとこさご飯。

それからは毎日違うメニュー(朱乃さんの気分で決まる)のトレーニングをほぼほぼ一日中。

理不尽りふじんじゃない?

理不尽だよね?そう思うよね!?

まぁ、おかげさまで強くなってさ、尻尾が5本に増えた。

まだ九尾狐ナインテイルにはなれてないけど、五尾狐ファイブテイルにはなれた。

少し、目標の姿が見えてきたような気がする。


「セイ」

「はい?なんです朱乃さん」


ある日、井戸で水を汲んでいたときに朱乃さんに話しかけられた。


「ちょいと来な」

「?」


まるでどこぞのヤクザ様…、とか思いながらついていく。


「腕だしな」


もはやなれて重りの意味をなしていない腕輪。

魔力はやはり吸っているようだが、吸われても問題ないほど魔力量も増えた。

朱乃さんは俺の右の腕輪を…、外した。


「ッ!?」


その途端体から魔力が溢れ出す。

まずい!暴走する!!

急いで制御するとなんとか間に合った。


「ちょっ、朱乃さん!?なにするんですか!!」


文句を言うと、朱乃さんは『問答無用!』と言うかのように左腕、右足左足と外していく。

やばい!本格的にマズくてヤバい!!

制御!制御制御制御!

っ、抑えられなっ…!!


「「セイー!!」」

「ぐぇっ」


後ろから飛びついてきたリン玲奈レナに押し倒される。


「あれー?セイいないよー?」

「いまいたのにねー?」

「ねー?」


セイは君たちの尻の下さ…


「凛、玲奈、重いよ…」

「ひどーい」

「レディに向かってなんたることをー」


のそのそとどいた凛と玲奈をひとにらみして、ふと気づく。

あれ?暴走が収まってる…?


「あぁそうだ。言い忘れていたが、魔力が抑えられずとも感情さえ安定していれば暴走はしない。

 逆に言えば、感情が不安定なら暴走するのさ」

「えぇっ!?」


それを先に言って!?


「ほれ、もう暴走は収まったろう?」


そう聞かれて安心する。

もう大丈夫だ。

抑えていた魔力を解放する。

そこらじゅうに青と銀色の光の粒子が舞いはじめた。


「わー」「きれーい」


しばらく俺は、魔力を解放してリラックスしていた。


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「さて、セイ、本題だ」

「えっ?」


しばらくして魔力を収めた俺に朱乃さんが言った

さっきまでのアレは前置きであると??


「あたしが教えられることは全て教えた。星降り島での修行は終了だ」

「っ!?」


ついに!?地獄の修行も終わりを告げた!!!


「つぎは六尾狐シックステイルさね。

 育成できるやつへの紹介状だ。持っておいき」

「はぁ」


何やら紙をもらった。

これが紹介状?

というか、六尾狐シックステイルへなるための修行って今以上なんじゃ…?

身の毛のよだつ思いだ。

この紹介状は封印しよう。


「その着物と靴は持って行ってもらって構わないよ。

 あぁでも、今のあんたじゃまと覇気オーラが強すぎるから、

 妖術で人に化けてから人の街に戻りな。」

「はいっ!」


すくっと立ち、《妖術》を使用する。

すると耳と尻尾が消え、銀髪から黒髪に、目立たなくなる。

オーラも格段に抑えられる。


「じゃあ、朱乃さん、お世話になりました!!」

「あぁ。たまには遊びに来るさね」

「じゃあねー」「またねー」


縁側で呑気に昼寝をしていた雪花を捕獲し、天花たちを呼んで、修行で手に入れたスキルを発動させる。


「《転移》!!」


カッ


真っ白な光がまぶたを焼いた。


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