第34話 月狐から目指せ九尾狐


前回のあらすじ:星降り島で特訓することになった。

        薄々気付いてたけど朱乃あけのさんってば鬼。


朱乃あけのさんにまず連れて行かれたのは、着物がたくさん置いてある部屋だ。


「んー、どれがいいかね…」


朱乃あけのさんがごそごそと着物をあさる。

俺は俺で怒涛どとう展開てんかいの整理をしていた。


「うん、これがいいさね」


渡されたのは白、青、藍色の布。いや、よく見たら着物だった。


「え?」

「ほれ、そっちの屏風びょうぶの後ろで着替えといで」


なんか朱乃あけのさんにはさからったらダメな気がしたので大人おとなしくしたがって屏風びょうぶの後ろに入る。

えーっと?まずこれが上で、これが下で…、あれっ?これ、おび

男もおびするわけ?


「えーっと、あれっ、あらっ、あらららら??」


いろいろこんがらがって相当時間がかかったけど、やっとこさ着る。


「セイ!次はこっちだ」

「あ、はーい!」


声のする方に行くと、縁側えんがわ朱乃あけのさんが待っていた。


「これきな」


そう言って差し出された草履ぞうり…、草履ぞうり

木製の草履ぞうりで、なんかたてに長い。

え、これくの?

朱乃あけのさんを見ると、無言でうなずかれた。本気マジ


「ん〜?ぅわっ!」


安定しない。

やっぱりれてないからかバランスが悪い。

グラグラしながらもなんとか立ち上がる。


「えーっと、朱乃あけのさん、これは…?」

「ここで修行するにあたっての服さ。今後はそれで外を歩くんだね」


って…、まさか草履擬コレですか!?


「えっ、えー……?」


抗議こうぎしようにも朱乃さんはさっさと歩いて行ってしまったのでどうにもならない。

しかたないのでれるためにも中庭を少し歩く。

最初は砂利道じゃりみちに安定しなかった足元も、歩くうちにだんだん安定してきた。

たくさんの草花の中には、いつかの白いカーネーションもあったような気がするけど無視スルー


「セイ、そろそろ戻っといで!」

「はーい」


朱乃さんに呼ばれて戻ると、何やら黒と銀の腕輪が2つずつ持っていらっしゃる。


「ほら、こっちにおいで」

「はい?」


腕をとられ、手首に銀色の腕輪をつけら、れっ!?


「おっ、おもっ、重いです!!」

「重くしたんだから当然とうぜんさね。ほれ、もう片方と足にもつけるぞ」

「えっ、いや、ちょっ、」


腕輪のせいで体が重く、抵抗ていこうできずに腕輪(足輪?)をつけられる。

ますます重い。

うっ。

って、ん?この腕(足)輪…、魔力吸ってない?

ちょっ、めっちゃ吸われる!!

待って待って、魔力が切れる!!


「ちょっ、やばっ、えっ、」

我慢がまんしな。してたら魔力量が増えるさね」


こっ…、これも特訓ですかぁぁぁぁ────!?

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