第27話 草精霊の興味

前回のあらすじ:その後の話をした。


「………」


俺は見る。

ただ見る。

さげすみと出来る限りの嫌悪けんおを込めて。


『待って!なんでそんな目でボク見られてるの!?えぇっ!?』

「無自覚なわけがないだろう?なぁ?犯罪者雪花くん?」

『ニュアンス!!裏の意味があるでしょう!?』


ぎゃいぎゃいと講義こうぎをしてくるが、悪いのは圧倒的あっとうてき雪花コイツである。

なんとこいつ信じがたいことに俺の3日分の食料全部食い尽くしやがった。

そ・れ・も、自分のを食べた上で俺のも、俺のも!(強調)食いやがった!!!

しんじらんねー!!!


「うるさい黙れ俺はいま怒りの絶頂ぜっちょうなんだお前を狐の丸焼きにして食うぞ」

『ノーブレス!?』


ああもう!!

しかたないな、また狩りに行くか……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よしついた」

『ついたぜ!』


西の草原エリアにはよくウサギが出現スポーンする。

なので狩りは主にここだ。


「えーっと、いつも通り雪花は遊撃隊ゆうげきたいな」

『イエッサー!』


ばびゅんと飛んでいく雪花。

うん、やっぱりアイツには遊撃隊みそっかす部隊があってるよ。

俺は腰につけたベルトに固定された鞘の留め具を外す。

留め具をつけていないとゼフィとレヴィ(主にレヴィ)が勝手に念動で飛んでいくのだ。


「ゼフィとレヴィは念動で狩ってくれ。俺が回収する。」

『いくわよゼフィ────!!』

『あぅあぅ、お姉ちゃん待って〜』


ギュンと飛んでいく姉に続いて控えめにピュンと飛んでいく弟。

相変わらず元気だなぁ。


「さて、行きますか!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ピロン♪


「?」


今日は雪花だれかさんが食料を食ってくれやがったので、いつもより長めに草原で狩りをしていると、通知音がなった。


《特殊クエスト:『草精霊そうせいれいの興味』が発生しました!受注しますか?》


「え?あー、YES」


どうせ迷いに迷って後々のちのちどうせイエスっていうんだからさっさとイエスって言った方がトクですよね。


〜〜*-*-*〜〜〜

特殊クエスト『草精霊そうせいれいの興味』

時間制限:3日

草精霊があなたに興味を持ちました。

どうにかして興味を持ち続けてもらったら契約してくれるかもしれませんよ?

〜〜*-*-*〜〜〜


「スゥーーーッ」


ツッコミどころが多すぎない?

まずさ、草精霊そうせいれい以前に俺は草神精霊ラキに興味を持たれてるのよ。

あとね、『どうにかして』って何?

そこを明確にしようよ。

そして契約。

俺さ、もうレベル5になったら誰々だれだれとみたいな感じに決まってるんだけど。

スリーコンボなんだけど。

運営さんの思考が読めないんだけど。


「えぇー」

『ぶふっ』

「?」


ちらりとそちらを見ると、雪花が後ろ足で立ち上がって前足で口元を押さえていた。

どうやって立ってんの?

というかみょう人間臭にんげんくさい動作だなオイ。


『いや、ちょっと、ふふっ、美形なセイの顔に、ふっ、シワっ……!

 眉間みけんに…、シワ…、が…っ、ぶふっ、ふっ、あははははははははははっ!!!』


ついにこらえきれなくなったのか笑い出す。


「雪花、おまえデコピン+断食だんしょくの刑な」

『っ!?』


もちろんしょした。

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