第24話 大ブレイクは終わらない

前回のあらすじ:狼一家が仲間になった。


あの日、俺は配信してしまっていたらしい。

衝撃。

いつのまに?

レジェンドボスは1%以下の確率で出てくる普通のボスの数倍強いやつだ。

今までレジェンドに勝ったという話は聞いたことがないし、その上で仲間にするなどあり得ない。

その常識をどこぞのアニメの飛び蹴りのように軽々とぶち抜いた俺の動画が今大ブレイクでバズっていると。

俺の癒しはどこへ!?っていうね。

まぁ、幸いなことにフードを被ってたし、『セイ』っていう名前も出なかった。

ゆえに、何もなかったことにしている。

うん、オレ、ナニモシラナイ。


「鈴、お前なんか友達と待ち合わせしてるんだろ?」

「はっ!」


リビングでくつろいでいた妹に聞く。

スズが慌てて時計を見る。


「きゃあああああああ!!!」

「うるさっ」

「お、おに、お兄ちゃん!私もう行くね!!」

「お前なに、下着姿に口にべっちょりプリンつけたまんまで行くのか?」

「そ、そうだったあああああ!?」


奇声きせいをあげて更衣室こういしつに走り去る我が妹。

なにをやっているんだあいつは。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ログインした俺は、とりあえず人目につかないところ…、路地裏ろじうらに入る。


天花てんか

『はい』


影の中から成犬ミニサイズ天花が出てくる。

俺のレジェンドボス討伐(というより仲間にしたんだけど)報酬のスキル、『潜影せんえい』。

まぁ能力としては漢字の通り。

影に潜れる技能スキルだ。

その能力を天花てんかのスキル『縮小化』と一緒に使う。

そうすれば…、フードを外して、その上で何とかして耳と尻尾しっぽを隠して、雪花せっか天花てんか白華しらはなうららを影に入れておけば俺が『炎帝に勝利した上レジェンドボスを倒したヤツ』ということはバレない…!と、いうカンペキな作戦だった。

だがしかぁし!耳と尾を隠すすべがない!

大・問・題!!発生!!

ちょっとかっこよさげに言ってみたけど、まあ結局けっきょくは耳と尾を隠したいってわけですよ。


白華しらはなたちは?」

『はい、とっっっっっても元気ですよ。それこそ現界影の外影響えいきょうが出ないように結界を張る私の魔力が擦り切れて魔力不足になるくらいには』

神狼フェンリルの全魔力が消されるまであいつら自由奔放じゆうほんぽうなの!?」


ちょいびっくり。

元とはいえレジェンドボスであった天花の魔力を切らすほど長い間遊びまわるとは………。


「はぁっ、ま、今は完遂かんすいしますかね。」


さわがしくて手の焼ける楽しい仲間も増えたことだし────。


「ま、ぼちぼちがんばりますよ」


俺は、楽しむためにこのゲームを始めたんだからね。



災いの種。

それは誰かの悪意の計画の元蒔かれるモノ。

ターゲットの知らないうちに…、そう、今ももう。

小さく、見えない種が蒔かれている。

だが、それが芽吹くのはまだまだ先の話────。

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