第22話 ディーネのコトヅテ

前回のあらすじ:アイツ体力全回復しやがった!!しんじらんねー!!


「キリがないいいいいいい!!」


あれから数十分。

何度、何回、けずっても回復される。

削ってる間にクールタイムが終わる。

少なくとも5回はやった!!

俺頑張った!


「ふっ!」


ガキンッ


爪を右へ受け流し、そのまま時計回りに一回回いっかいまわって胴に一撃を叩き込む。

一応コツはつかめた。

受けてはいけない。

受け流す。

それさえ守れば大体いける。


〔…いさん。せ…さん!!〕

「っ、ディーネ!?」


ふとディーネの声が聞こえた。

え、どうやって話しかけてんの!?

というか、さっきのは幻聴げんちょうじゃなかったのか!?


〔フェンリルちゃんを倒す方法を教えますぅ!いいですかぁ、結構短い間しか通信できないのでぇ、一回しか言いませんよぅ!〕

「っ!」


一回しか言わないというのを聞いて、ブレスを避けながら聞きに徹する。


〔フェンリルちゃんは今ぁ、瘴気しょうきに侵されて正気しょうきうしなっていますぅ!〕


だけに?

真剣しんけんな場面でしょうもないことを考えてしまった。


〔精霊たち、特に光の精霊に頼むんですぅ!いいですか?『浄化』ですよぅ?間違えないでくださいねぇ?コレは精霊術に分類されるのでぇ、精霊たちからより強い力を引き出せるんですぅ!〕


えーと、よくわからないけど光の精霊に頼めばいいんだな?

スッと息を吸う。


「精霊さんッ!」

〔〔〔はーい〕〕〕

「俺のお願い聞いてくれる精霊さんはー!?」

〔〔〔はーい!!!〕〕〕


精霊眼エレメンタル・アイ》が発動する。

ぶわっ、と精霊が集まってくる。


「光の精霊さん!」

〔はいっ!〕


基本的に精霊達は光の玉に見えるけれど、中でも白いのが光の精霊さんだ。


「《浄化》!」

〔ッ!〕


光の精霊たちが白い魔法陣まほうじん生成せいせいする。


〔〔じょうか、いきまーす!!〕〕


声を揃えてやぁっ!と放つ。

真っ白な光の球が現れ、狼を包む。

狼の黒い毛並みから色が抜けていく。

黒いきり霧散むさんするように広がって消える。

浄化は…成功?したらしい。


「っ!」


思わず息を飲む。

そこには…、純白じゅんぱくの光沢を《こうたく》放つ真っ白な毛並み、天使のような大きな翼。

銀色の瞳が俺を見つめていた。

狼は瞳を細め、みしめるように四肢を踏ん張る。

ついと鼻面を天に上げ……



アオォォォォォォ────ン………



遠吠えがひびいた。

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