第21話 死闘ヲ演ジヨ

前回のあらすじ:俊敏に全部振った。を倒そう!


「レヴィ!」

〈はいっ!〉


レヴィとゼフィを両手にかまえ、狼を見据みすえる。

1ミリでも動けば…、切る!!

お互いに動かず、ただ時を待つ。


ゴーン…ゴーン…ゴーン…ゴーン…


遠くに見えるフェレデリアの外壁がいへき

高い時計塔とけいとうが真夜中の2時を告げるかねを鳴らした。


ヒュガッ


風を切って狼に突撃とつげき

喉元のどもとにレヴィを突き立てる……、と思わせてすれ違いざまに右前脚みぎまえあしに一撃を入れる。


「ぎゃぅっ」


同じように左前脚、右後脚、左後脚を斬り付ける。

体勢たいせいを保てず倒れた狼。

どうするかと思いきや………。


「グルァ!」

「ブレスぅぅぅぅぅ!?」


水鉄砲的みずでっぽうてきな何かを口から吐く。

3リットル弱くらいか?

その水に触れた地面が、


パキン!


凍った。

触ったら凍る水?なにそれチートじゃないですか。


「でも甘いッ!」


スキル《水流操作すいりゅうそうさ》を発動する。

水を動かすスキルだが、まだレベル1で動かせる量限りょうげんが決まっている。

だが…、


「《水流操作すいりゅうそうさ》…、プラス、水神精霊すいせいれいしん守護結晶しゅごけっしょう!」


ストレージから髪飾かみかざりを取り出してつける。

銀色の滴型しずくがたの土台に見る方向であいにも水色にも見えるグラデーションの宝石…、守護結晶のはまった髪飾りだ。

効果は驚異的驚異的

それは、水属性の魔法・スキルが熟練度じゅくれんどがレベルの×10になるのだ。

まぁ、MAXは500なのでまだまだザコなのだが、3リットルちょいはあやつれる。

まあ簡単に言うと…


「コレで十分ってことだよ!!」


水を操り、逆に狼にかける。


ピシッ…


胴体どうたいが固まる。

だが、足が治ったのか立ち上がった。

どうこおっても足が動けばなんら支障ししょうはないってか…!


「雪花!」

『はいなっ!《加速》!』


雪花がダダダダンッ!と木の枝やみき、地面を足場あしば撹乱かくらんする。

残像ざんぞうが見えるな。


《New! 従魔・雪花がスキル《ドッペルゲンガー》を獲得しました!》

《New! →スキル《妖術・分身》を獲得しました!》


おおう…?

………、説明を見ているひまはないな。


「雪花、《ドッペルゲンガー》」

『はいっ!』


どろろん、とでも表現しようか。

けむりが噴き出て、雪花が…こう、2匹になった。


『『いくぜぇ!』』


ダダダダンッ!×2。


よし、俺も!!

俺も一緒にボールのごとねながら斬りつける。

どんどんと小さな傷跡が残る。

チリも積もればなんとやら。

小さく、でも確実に、HPを削っていく。


「グルルルル………、ガウッ」


何かのスキルか…?

次の瞬間俺は叫んだ。


「HP全回復って、そんなのアリ!?」

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