カザグルマは風を起こす

第18話 伝説の始まり

前回のあらすじ:変なやつに追いかけられた。

        そういえばGMコールすればよかったね。

        忘れてた…(テヘッ)でも逃げまくってたし

        思い出してもコールするヒマがなかったかもね。


「ん〜ん〜、ふふふ〜ん♪」


街中を歩くと、道ゆく人々プレイヤーがギョッとして離れる。

どうやら俺がこの前倒したゴリマッチョは『炎帝』なるヤヴァイヤツだったらしい。

知ってたんだったら教えてよ!!

そして助けてよ!!

俺まだ初めて一週間の初心者だぞ、オイ!

俺の周囲半径1メートルほどの円。

避けられてる。悲しい。

そしてあのあと俺を追ってきた不審者は、トッププレイヤーのひとりで俊敏特化の戦闘スタイルのプレイヤーだった。

目的は俺をクランに入れることだったらしい。

あっ、もちろん丁重にお断りしたよ?


「今日は東の森にしようかなぁ。」

『東の森〜?』


雪花が周りに聞こえない程度の小さな声で聞く。


「あぁ。あそこはなんでも、ボスと隠しエリアがあるらしい。

 だから近づかなかったが、そろそろ新しい所行かないとな」

『ふぅん。まぁ、セイもだいぶ強くなったしねぇ』

〈もしボスが出てきてもあたしの氷華で氷付けよ!!〉


威勢よくレヴィがいう。


「レッツゴー!」

『ゴー!』

〈ゴー!〉

〈ご、ゴー…!〉


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ガキィン!!


「なに、コイツ!?」

『知らないッ!』

〈ぎぇ、こっちきた!〉


今俺たちが戦っているのは、白い狼系のモンスターだ。

鑑定結果は《エンジェル・ウルフ》。

天使狼!?

チートじゃねぇか!なんで頭にツノ生えてんだよ!!


「ああもう!!ゼフィ《刀化》、レヴィ《念動》!」


ゼフィが刀になり、レヴィがふわりと浮く。

念動は、物を浮かせるスキルだ。

そのスキルをレヴィは自分に使い…、浮く。

そして飛ぶ。

ビュンビュンに縦横無尽じゅうおうむじんに動き回って撹乱かくらんするだけ撹乱かくらんして死角しかくからぶっさす。

怖いよね。味方でよかった。


〈行くわよー!うりゃあああああ!!〉


積年せきねんうらみともいうかのように猛然もうぜん突進とっしんする。

ちょっと狼に同情した。

頑張ってね。

あっ、1匹吹っ飛んだ。

1匹2匹、3匹、4匹…、れそう。


ピコーン


今までとは違う音がした。

俺はウィンドウを見て…、さっと顔を青くした。


《ボスエリアに入りました!》

《ボスバトルを開始します!》


「やっば…」


その瞬間気配察知が大きな音を鳴らして警告した。


危険度────レベル173。


狼で69だったのに…!

百以上あがるのか!?


「雪花!ゼフィ、レヴィ、全力防御体制ぜんりょくぼうぎょたいせい!!」

〈ッ!?わかったわ!〉

『了解!』

〈あわあわ…わ、わかった!〉


その瞬間しゅんかん目の前に真っ白な刃が現れた。


ザンッ


「っ…!」


HPが半分ふっ飛んだ。


「クソッ…!」


ピロン

《配信ボタンが押されました》

《配信を開始します》

《三…ニ…一…スタート》


指がウィンドウに当たって何かボタンを押してしまったらしい。

だがかまっていられない。


「雪花!ゼフィ、レヴィ!」

〈はぁっ、はぁっ、〉

『こっちはなんとか大丈夫!でも体力が半分消えた!!』

「こっちもだ!ああもう!今日って俺にとって本っっっっ当に厄災日やくさいび!」

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