カザグルマは加速する

第9話 迷子の迷子のお二人さん♪

前回のあらすじ:狐と一緒に蜘蛛からアディオス!!やったね!


「なぁ、狐」

『なに?セイ』

「ちょっと話があるんだが」

奇遇きぐうだね、僕もちょっとセイに話があるんだ。』

「もしかして──」

『「迷子まいごになっちゃった?」』


俺たちがついた街は、『始まりの街・フェレデリア』という名前の街だった。

初期金しょききんとして三万チコル(1円=1チコル)あるので、武器を買おうと思い………今の惨状さんじょうである。


「ど、どうしよう…?」

『えーと、えーと、どうしようか………』


あっ!俺ってば名案めいあん思いついちゃった!


「屋根に登って、そこから大通りに降りればあるだろ」

『あっ、それめいあーん!!』


俺は月狐げっこの力で脚力きゃくりょくが強化されている……らしい。

ゆえに…


「よっ」


ぴょんと飛び、近くのパイプ?にぶら下がる。

そこから遠心力を利用して飛び、次は洗濯物を干しているひもを蹴って屋根に上がる。

なんでこんな風通しが悪い場所に干してるんだよ。


「えーと、大通りは…」

『どっちだ〜?』

「あー、声がたくさん聞こえるし、あっちか?」

『あ、ありえるー』


とりあえず声がする方に《隠密おんみつ》を重ね掛けして走る。

わあ、跳躍ちょうやく力まで強化されてる…。


「おっ、当たりだ」

『あ、武器屋発見』


近くの路地から、今度は迷わないように道を確認して歩く。

さりげなく混ざり、武器屋に入る。


からん


「だれじゃ」


うわぁ、めっちゃ頑固がんこそうなおじいさんだわ………


「武器を買いに…」

「お前なぞにやる剣はない。」


うわ、典型的てんけいてき


「じゃ、どうしたら作ってもらえる?」

「ふん。スノーフォックスの毛。」

「ん?」


スノーフォックス?それって……


「狐」

『なに?』

「毛、くれ」

『え?いいけど、何に使うの?』


尻尾の先の毛をもらい、おじいさんに差し出す。


「…………!」


うわ、よくそんなに目が開くね。

酒飲みの芸にできるんじゃね?


「………、お前にひとつ聞こう。」

「なんだ?」

「この毛をどうやって手に入れた?」


え?これは嘘をつくべき?

いやでも、この人には通じなさそうな気がするんだよなぁ…


「頼んで貰った。」

「………」


嘘は言っていない!

本気マジだ。


「………一式だけだ。何が欲しい。」

両手双短剣りょうてそうたんけん!」


そう。

俺は最初から何が欲しいか決めていた。

なんか知らないがおじいさんには気に入られたらしい。

ふたりしてノリノリで仕上げた。

いわゆるオーダーメイドだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「フーマ爺!剣!!」

「おうよ」


すぱーん、と扉を開けるのももどかしく飛び込むと、おじいさん……フーマ爺がふたつの15センチほどの剣を持っていた。


「っ!」


これは……、《精霊憑せいれいつき》だ。

超絶珍しい鉱石、《魔鉱石まこうせき》をつかってる…


奮発ふんぱつしたぜ、俺の中で最強だ」

「すげー!!フーマ爺最高!!」


その剣には、それぞれ一体ずつ精霊が憑いている。

そう…。俺の新たな仲間だ。

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