第7話 遭遇

装備変換しないと…こんな格好なのにレベル1って知られたくない。

今の服は…んん?

義賊服一式ぎぞくふくいっしき》?

…………草精霊ラキ

絶対にノリノリで作ったよね?


「はぁ」


ったく。

義賊服一式ぎぞくふくいっしき》を《初心者装備一式しょしんしゃそうびいっしき》に変換する。

すぐに服が変わって一安心。


「ふぅ」


がさっ


「っ!?」


しげみの中…何!?


「きゅっ!」

「ぇあ?」


真っ白な…狐??


「きゅ…きゅう!」


ばばっと飛びついてきて、ひしっと俺の服にしがみついている。


「?」


とりあえず落ちないように手で支える。

狐は警戒けいかいしているけれど、相手は俺じゃ…ない…?


「ッ!」


狐耳きつねみみが音を捕らえる。

カサカサ、シュー、という音だ。

あぁ…聞いたことがある。


「く、く…」


ソイツが飛び出してきた瞬間俺と狐は叫んだ。


「クモ────────ッ!!!!!」

「きゅ────────ッ!!!!!」

「キシャ──!!」


くるりと右向け右、月狐げっこになって強化された脚力で…


脱兎だっと!!」


ばびゅん、と自分でも驚くほどの早さですっ飛んで逃げた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」


驚きのあまり尻尾しっぽ逆立さかだってる………

俺も狐も。


「はは…あー、逃げた逃げた。

 こんなに全力疾走ぜんりょくしっそうしたのは久しぶりだ……」

「きゅふぅ」


ぼふんと地面に仰向あおむけになる。

腕から狐がすり抜け、大の字になる。


「俺はクモが嫌いだ。お前は?」

「きゅぅ…」


なんとなく『きらーい』と言ったのがわかる。


「嫌いかー。なーんかカサカサして気持ち悪いんだよな」

「きゅぅー。きゅきゅきゅぅ、きゅー。」


『わかるー。足も八本あって、ぞわっとするー。』


「そう、そう。しかも糸出すんだぜ?

 クモの巣にからまったときとかめっちゃ嫌!」

「きゅぅ!きゅきゅっきゅきゅぅ」


『そう!しかもなかなか取れないからめんどくさい!』


「だよなー」

「きゅー」


『だよねー』


なんだか会話ができていた。

後から知ったけど、これは『言語解読ごんごかいどく』の効果だったらしい。


『あのクモたちは、ポイズンスパイダーっていう毒蜘蛛どくぐもだよ。

 この森にはいーっぱいいるから、ここも見つかるかも。』

「え!?どうしよう…」


俺ってば今レベル1だから戦いたくないんだけど…


「あ!そうだ!」

『何か思いついたの!?』

「あぁ、見てろよ、《隠密おんみつ》!」

『えっ!?』


スゥッと姿が消える。


『え、どこ!?どこ行ったの!?』

「《解除かいじょ》」

『ぅわぁっ!!』


リアクションが面白い。


「ふふん。これで大丈夫!

 街まで行けばクモも追ってこない。これでまちまで行こう」

『いいね!』


あれぇ?なんか狐も街に行く的な感じになってるけど…ま、いっか。

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