第3話 悪寒の正体

前回のあらすじ:なんだか寒気がする。これも貴様ディーネのせいだぞ。


「ディーネーーーーーーッ!!」

「きゃああああああああ!!こっち来ないでくださいぃぃ!!

 蒸発するうぅぅぅぅぅ!!」


全部で8人の精霊がその場に突如として顕現した。

体がすけているのですぐにわかる。


(ディーネは水…ということは、属性の精霊?)


と、なると…。

ディーネに近づく赤髪赤目、全身が燃えてんじゃねぇのかと思うくらいに真っ赤かな男性。

おそらく彼は…


「火の精霊?」


ボソリと呟いたその言葉を聞き逃さず、ギュンッとこちらにやってくる。

近づかれるたびに何か嫌な予感がする。

どんどんと…溶ける?消えるような感覚だ。

ふと直感的に思った。



             ──体が蒸発してるッ!?



ギョッとし、その場から高速離脱するセイ。


「私のセイさんに近づかないでくださいぃぃぃ!!」

「むっ!何を言う!お前こそ、数万年ぶりの〈神子みこ〉を独り占めしただろう!」

「あれは、相性が──」


うんちゃらかんちゃらディーネと火の精霊(仮定)が言い合う。

その間に、緑色の髪、茶色い瞳の男の子…おそらく草の精霊が近づいてくる。


「ごめんね、サラが」

「サラ?」

「うん。火の精霊サラマンダーだからサラ。」

「………」


安直なるネーミングに絶句する。


「えーとぉ…ステータス設定が終わったので、もうスタートしても?」

「あっ、ちょっと待ってね」


スタートボタンを押そうとするセイに待ったをかけ、草の精霊(仮定)がディーネたちに近づく。


「ディーネ!サラ!!さっさとしないと、嫌われちゃうよ!」

「「ッ!」」


ビシッと固まり、言い合いを止める。


「クッ…、停戦です、嫌われるなど論外の論外です!!」

「同意だ」


『なぁにが、クッ…、だ』と言いたげなさげすみのビームが草の精霊の瞳から発射されている。

だがくるっとこちらを向いた草の精霊はにっこり、そう、にっこりと笑顔だった。


「はい、これ」

「?」


草の精霊から緑色の宝石を手渡される。


「あーっ!ラキ、抜け駆けはダメだよーっ!!」

「ふふん、君たちがもたもたしているからさ!」


その後、セイは他の8人からもそれぞれ宝石をもらった。

鑑定してみると、《神精霊の守護結晶》とでた。

とても珍しく高価で貴重らしいが………

セイの心情はこうである。

『持ってらんねー。重てー。』以上。

結局は相性がいいと思われる水・氷・雷・闇の四つは身に付けることにした。

残りは申し訳ないが倉庫ストレージに入れておいた。


「ものすごく成金なりきんっぽくなったんですが」

「うーん…」


狐耳に合うように耳飾りとして氷の宝石を月形にしてつける。

水を髪飾り、雷をチョーカー、闇は耳飾りにした。

故に。ものすごく。成金感が増した。


「じゃあ、これに合う衣装を作れば違和感がなくなっていいね!」

「いや、違和感の話じゃなくて!!目立つ目立たないの話なんですよ!!」


セイのツッコミを華麗に無視し、セットの服が送られてきた。

期待の視線に負け、仕方なくウィンドウから衣装設定場面に移行し、その服を衣装フレームにスライドして設定する。

すると、精霊たちがへぇ、と感心したように頷いた。

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