第4回 配信と投げ銭のデスゲーム〜コスゲ・ラブ センジュ氏、痛恨のミス〜

──センジュさん、いえ。『コスゲ・ラブ センジュ』さん。第4回目のデスゲームへの参加、お疲れ様です。


センジュ:お疲れ様です!いやー、今回のデスゲームも楽しかったですね!


──デスゲームに楽しいも何もありませんよ。ニュースで見ましたけど、今回は特に性質が悪かったですよね。


センジュ:でも!今回は死体が出ませんでしたよ!


──警察の捜査によれば、『死遊戯コスゲの生配信デスゲーム〜コスゲと一緒の二日間〜』の参加者のうち現段階で50人ほどと連絡がつかなくなっているとのことですが。


センジュ:え〜本物のコスゲたんに呼ばれたのかな。凄い投げ銭?してたもんな〜。僕も頑張ったんだけどな〜


──この記事を見てくださっている皆さんはおそらく第4回目のデスゲームの内容はご存知かと思いますが、念の為。

 今回のコスゲのデスゲームは視聴者参加型のLIVE配信でした。コスゲの出題したクイズに強制回答させられる仕組みとなっており、不正解者はコスゲに自動で数十万の高額投げ銭を投げる仕組みとなっていました。


センジュ:画期的ですよね!社会的、精神的に殺しにかかってくるデスゲーム!コスゲたんはやっぱり天才だ!


──QRコードやURLにアクセスした視聴者のPCやスマートフォンを乗っ取り、個人情報やクレジット情報を闇金サイトに登録していたことが捜査で明らかとなっています。闇金ですから、今連絡のついていない方々は肉体的安全が保証されているとは言い難いですね。


センジュ:そっかあ。


──……前回の反響です。

「ビームでホームランやめろ」

「ピッチャーにレーザービーム当てたらそれはデッドボールになるのか?」

「1イニングで29点差ならコールドゲーム待ったなしだろ」


センジュ:ミズモトさんが野球で例えるから反響も野球になってるじゃないですかー。


──え、私のせいですか?……すみません。


センジュ:わかればいいんです、わかれば!じゃあお便りいきましょう!ありますよね!


──(眉間に皺を寄せる記者)……はい。お便りへの回答をお願いします。


センジュ:よろしくお願いします!


──「デスゲマニア」さんからのお便りです。

「センジュさんこんにちは!今回のデスゲームも凄かったですね!私も今回は迂闊にQRコードを開いた結果強制参加させられて、50万くらい持ってかれましたが元気です!それより、センジュさんが圧倒的なコスゲたんへの愛でクイズを当てまくる姿に驚きました。しかしそれ以上に、ゲームに勝っているのに多額の投げ銭をコスゲたんに送る姿に引きました。資金源はどこですか?貴方何者?」


センジュ:デスゲマニアさん!戦友だ!お疲れ様ー!いやー、投げ銭、いい機能だね!僕の溢れるコスゲたんへの愛をお金って形で証明できるなんて!


──なんで正解するたびに100万の投げ銭してたんですか?なんで正解するたびに長文お気持ち表明コメントと共にアカウント3つ使って100万の投げ銭してたんですか?


センジュ:まあまあ、勝ってるのに投げ銭するのは普通じゃないのかもしれませんが、僕にとっては愛の証なんです。コスゲたんへの感謝と愛を形にしたくて。みんなが引いていたのはわかりますが、僕にとってはそれが自然なんです。


──どこからそのお金出てくるんですか?借金ですか?


センジュ:まさか!次のバイト代が入るまで両親に少し借りただけです。


──色々とツッコミ所がありますが、まず。ご両親は何をされている人なんですか?


センジュ:母親が女優で、父親が作家です。


──もしかして、結構有名な?


センジュ:どうでしょう?2人ともメディアに本名は発表していませんから。


──芸名やペンネームをお伺いすることは。


センジュ:それは遠慮させてください。両親の仕事先に影響がでちゃう。


──まあ、こんな息子さんですもんね。では、数百万の投げ銭代を賄える自称一般大学生のアルバイトとは?


センジュ:これも守秘義務があるんで細かく言えないんですけど、探偵です!


──た、探偵……


センジュ:これ以上話しているとうっかり色々話しちゃいそうなので、次のお便りいきましょ!


──……はい。では次のお便り「助けて」さんから。

「助けて 投げ銭 ミンクチアダ 山 埋められ」


センジュ:あっ。


──あっ?


センジュ:ミズモトさん後でそのお便りの送り先教えてください!じゃあ次のお便りいきましょ!


──どっちの「あっ」だ……?インタビュー終わってから詳しく聞きますからね。次はコスゲタンさんからのお便りです。

「センジュさんこんにちは。ワタシはコスゲではありませんが、相談があります。ワタシには今気になる男の子がいます。ただ最近、彼の実家が相当太いであろうことに気づいてしまいました。今度もデートに誘いたいと思ってはいるのですが、実家が太い男の子はどこでデートすれば喜んでくれると思いますか?センジュさんはコスゲとデートするならどこが嬉しいですか?」


センジュ:んー、実家が太い男の子かー。イメージ難しいなあ。


──センジュさんも実家が太い男の子でしょう。センジュさんはデートしたい場所とかあるんですか?


センジュ:コスゲたんと?僕はコスゲたんとならどこでも嬉しいんだけどな。ただ実家が太い男の子想定だと、そうだな……船とか?


──ちゃんと実家が太い男の子の発言ですね。クルージングですか。


センジュ:ええ、個人的に船には思い出があって。僕が6歳の時、両親が船上で結婚式したんですよ。


──ロマンチックじゃないですか。


センジュ:忘れもしません。5月3日、豪華客船で両親の結婚式中に殺人事件が起きたので!


──忘れようにも忘れられないというやつでしたね。


センジュ:警部がボウガンで撃たれて死んだり、弁護士が毒入りチョコレートを食べて死んだり、博士がトランプで心臓を貫かれて死んだり!


──……おめでたい日に嫌な思い出ができましたね。


センジュ:両親が結婚指輪にロマノフ王朝の秘宝を使ったばっかりに!


──そろそろデスゲームの話題に戻っても?


センジュ:僕一回犯人に殴られて記憶喪失になったんですけど、犯人が犯行に使用した夫婦お猪口を見て記憶復活!そのまま連続殺人犯「ベイカー街の十字路クロスロード」を奇術師マジシャンみたいに逮捕してやりました!


──国民的少年探偵を彷彿とさせる経歴でしたね。そんなスペクタクルな結婚式を執り行ったご両親はおそらく特定されるかと。お便りは以上です、ありがとうございました。さて、本題に入ります。今回のデスゲームはいかがでしたか?


センジュ:コスゲたんの素晴らしさを再確認することが出来ました。死遊戯コスゲがゲームや料理をしながらコスゲたんにまつわるクイズを出題し、それに回答しながら僕らは投げ銭をする。他のみんながどれくらいコスゲたんのことを知っているのかとか、もしコスゲたんがゲーム実況とか料理配信をしたらあんな風なのかなとか、色々考えられて楽しかったです!


──ん?


センジュ:ん?


──コスゲがゲーム実況とか料理してたでしょう?


センジュ:死遊戯コスゲがね?


──いえ、コスゲ本人が配信の際に使用したアバターが死遊戯コスゲでしょう?


センジュ:ん、んん?つまり?コスゲたんと死遊戯コスゲは──同一人物?


──逆に別人だと思ってたんですか?


センジュ:──(しばし沈黙)────(荷物をまとめて部屋を出ようとする)


──ストップ。ストップですセンジュさん、どうしたんですか突然。


センジュ:うわーん!止めないでくださいミズモトさん!僕は……コスゲたんに愛を誓っているにも関わらず……!死遊戯コスゲがコスゲたん本人だったとか……そんなことにも気付けなかったなんて……!


──何でコスゲじゃないと思ってたやつに数百万投げられるのか、私はそれが今気になって仕方ないですが。


センジュ:スタッフさんだと思ってたの!最終的にコスゲたんのデスゲームの足しになればと思って!


──犯罪行為に協力しないでください。ご両親が泣きますよ。


センジュ:両親も協力してくれたもん!一緒に投げ銭してくれたもんー!


──3つのアカウントからのトリプルスパチャ、複アカじゃなくてご両親だったんですか?お宅の教育どうなっているんですか?


センジュ:ううー!今から帰って保存した動画を編集して、コスゲたんの切り抜きを作るんだー!離してー!


──……はあ、わかりました。ではインタビューは最後です。次回の抱負をお願いします。


センジュ:次回こそは!コスゲたんへの愛をちゃんと示すために!全力で謎を解き、戦い抜きます!そしてコスゲたんへの投げ銭もパワーアップ!みなさんも応援してください!コスゲたん切り抜きチャンネル作ります!登録よろしくー!


──ありがとうございました。あと帰らないで、切り抜きはウチの機材で作成していいですから。さっきのお便りの「あっ」について詳しく話してもらいます。皆様、次回があれば、お楽しみに。

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