チュートリアルクエスト

私が目を開けるとそこには広い草原が広がっていた。草原の先は森で囲まれていた。私の側に短剣が落ちていた。ミイプちゃんの贈り物だと思い、私は短剣を装備する。私が起き上がると急にウインドが表示された。ウインドに書いてあったのは――


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【チュートリアルクエスト】


草原でスライムを0/5匹倒せ!!


報酬:木の剣、1000ゴールド

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チュートリアルクエストなるもの。ってスライム五体を倒すだけ? 

簡単すぎる気もするけど……。


私はあたりを歩き回る。全く出てこない。30分程探し回ったところでようやく一体目のスライムを見つけた。


スライムは私を見るだけで全く攻撃してこない。


可哀相だけどえーい、クエストだし仕方ない。ごめんねスライムちゃん。


私はスライムに向かって短剣を振り下ろした。 


MISS!!


え?確かに私は短剣をスライムに向かって振り下ろしたはず……。


スライムは可愛らしく私のほうを見て首を傾げている。スライムのほうも切られなかったことに驚いているみたい。えーい!もう一回!


驚いている隙にもう一度私は短剣を振り下ろす。


MISS!!


あっれー?おかしいな。バグかな?スライムは元気に鳴いているのでもう一回切ってみる。


MISS!!


なんでぇぇーーーーーーー!!!??


さすがに三回連続でMISSにならないよね!?スライム1匹に他の人は苦戦しないよね?


スライムは私がダメージを与えられないと思ったのかようやく攻撃してきた。

私に向かって体当たりしてくる。


「きゅぴーー」


私は攻撃を受け切れず、ダメージを喰らってしまった。反射的に目をつぶる。


スライムの攻撃!!ユナに1ダメージ!


あ、れ?痛く、ない?私は恐る恐る目を開ける。スライムは私がダメージを殆ど喰らっていないと見て、私から逃げる最中だった。


「あ、待って!スライムちゃん!」


私は追いかけるけどスライムに追いつけず、何処かへと行ってしまった。


悔しいー!次見つけたときはかんばろ!


こんな調子ではスライムを見つけるのに30分、見つけても倒せるか分からない。EWOで始めてスライムに苦戦するプレイヤーが表れた瞬間だった。


私が次のスライムを倒そうといきこんでいると、頭の中でなにやら誰かが話しかけてきた。


『ちょっといい?ユナちゃん』


聞こえてきた声は何となく覚えがある。


「ミイプちゃん?」

『正解!』


やっぱりミイプちゃんだった。だけどどうしたんだろう。


『本来ならこんなことはしないんだけど、ユナちゃんがスライムに苦戦してたから助け舟をだそうとね』


笑いながらそう伝えてくれる。私を助けてくれるらしい。やっぱり持つべきものは友達だよね!


「わーありがとう!」

『大変言いにくいんだけど……』

「どうしたの?」

『ステータスを確認してみて』


私はミイプの言ってる意味が分からなかったけど、ミイプちゃんを信じてステータスと唱える。

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【ステータス】

 名称:ユナ

 種族:人族

 職業:鍛治士

 Level:1

 HP:100/100

 MP:100/100

 STR:0

 VIT:0

 AGI:0

 DEX:10

 INT:0

 MND:0

 LUK:0


 スキル:『悪魔の数字Level1』『付加Level1』『筋力上昇(少)』『鍛治Level1』


 SP:0 BP:0

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あれ?悪魔の数字?なにこれ? 


私はステータスの『悪魔の数字』と書かれた部分をタップする。


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ユニークスキル『悪魔の数字Level1』


・運-666%

・レアドロップ確率-666%


このスキルは常時発動ノン・リキャストする。

消去出来ず、譲渡することも出来ない。

また、武具に付与することも出来ない。

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はぁぁぁぁーーーーー!!!!??


本日二度目の叫び声が草原に響く。


え?これがユニークスキル?初期スキルの一つを潰して?これ?ゴミスキルじゃん!!!消去出来ない?ずっとこのスキルと冒険しろって?ないないない。


『てへぺろっ!』


私はミイプちゃんに怒りを覚える。だけど可愛いから許しちゃう。怒りを鎮める為に深呼吸を何度かする。対応策をどうにかして探さないと!


「作り直しは?」

『このゲームは作り直し不可なんだよね』


ですよねー。知ってた。攻略サイトを見たときに書いてあったし。


『いや、本当はさ、他に5つの選択肢があったんだけど……。確率0・666%を引き当てるからさ。お遊びで入れたスキルだったんだけど』


確率まで不吉だし!!?ここは考え方を変えてみる。


0・666%だよ?そんな確率を一発でものにした私ってこうう―――




な、わけあるかぁぁぁ!!


『チュートリアルクエストまでだけど手伝ってあげるから!落ち込まないで!』


ミイプちゃんの優しさが私の心に染み渡る。 


「ミイブぢゃん!!」


涙でうるうるしている私をほっといてミイプは話をすすめる。


『ユナちゃんが可哀相だし、ミイプ権限でチュートリアルクエストの内容を変更するね』

「わーありがとー!」


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【チュートリアルクエスト】


スライムを0/1匹倒せ!!


報酬:木の剣、1000ゴールド

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スライムの倒すのが少なくなっている。ミイプちゃんに感謝!


「スライム1匹なら楽勝だね!」

『そのスライム1匹を倒すのに時間がかかるとおもんだけど……』


ミイプちゃんがボソッと言った言葉はスライムを倒そうと躍起になっている私には気付かなかった。






―――30分後見つけたスライム数1匹

逃げられ、失敗。


―――1時間後見つけたスライム数3匹

失敗。


―――2時間後見つけたスライム数7匹

失敗。




「なんでぇぇぇぇ!!!」

『仕方ないと思うよ。スライムは核に攻撃を当てなきゃ倒せないからね!』


つまりはそういうことなのだ。逆に核さえ攻撃出来れば倒せると言うことだ。

ユナにとっては全モンスターの中でスライムが1番の天敵になる。


「先に言ってよぉぉぉーーー」

『あはは!言ったとしても関係ないからね!』


私が叫んでいるところに8匹目のスライムがやってきた。このこは逃がさないように慎重に。私は手慣れた手つきでスライムを攻撃する。


MISS!!


私は短剣を持っている右手をスライムに向かって戻す。


MISS!!


スライムには悪いけど私がスライムに攻撃されないように、逃げられないように連続で切り付けていく。


MISS!!

MISS!!

MISS!!

MISS!!

MISS!!


『うーん。手慣れてきたね。言うなればスライムマスターかな、いや、スライムスレイヤーのほうがいいか』

「好きでスライムばっかり倒してないし!!」


短剣で攻撃しながらミイプちゃんとしゃべる余裕すらでてくる。


合計でスライムに30回目の攻撃を当てたところでスライムは消えてなくなった。


え?あれ?倒したの?実感が湧かない。


「私、倒せたの?」

『うん。おめでとう!』


私はよろけてしまい草原に寝転がる。ここまでスライムといえどもずっと攻撃をしていた。疲れがどっとでた。私は本日四度目の叫び声を出す。


「やったぁぁぁーーーー!!!」


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